2013 Fiscal Year Annual Research Report
視覚場面を構成する物体群が持つ統計的規則性の潜在学習メカニズムの解明
Project/Area Number |
13J00414
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 洋子 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 潜在学習 / 視覚的注意 |
Research Abstract |
本研究計画では, 視覚場面において生じる物体の位置の変動に着目し, 「人間が変動する場面からどのように規則性を抽出し, 潜在的に学習するのか」という問題を解明することを目指す。まず, 従来の潜在学習パラダイムを応用した新たな実験パラダイムを構築し, 「どの程度の変動から規則性が潜在的に学習されるのか」を明らかにする。潜在学習が起きる変動の大きさを示したうえで, 「どのように規則性が抽出されるのか」を検討する。ここでは, 変動の平均が抽出される可能性や, 変動の頻度が抽出される可能性が考えられる。さらに, 課題遂行中の眼球運動を測定し, 「潜在学習が視覚的注意に及ぼす影響」を調べる。以上の検討により, 変動する視覚場面の潜在学習過程を総合的に解明する。 第―年度である平成25年度は, 変動する視覚場面における規則性の潜在学習を検討するためのパラダイムを構築し, 「どの程度の変動から規則性が潜在的に学習されるのか」を検討した。その結果, 視覚場面がかなりの程度の確率的な変動を伴っても規則性を学習できることを示し, 潜在学習が同―場面の反復に限定されるものではないことを明確にした。一方, 「どのように規則性が抽出されるのか」という問題にっいては, 変動から代表値が抽出されている可能性を示唆する結果を得たものの, 当初の仮説であった平均や頻度が学習されていることを明確に支持する結果はまだ得られていない。これは, 変動する場面における規則性の潜在学習において, 未知の要因が介在している可能性を示唆しており, 今後の研究が必要である。この問題については現在検討を進めており, 成果を次年度の国内・国際会議にて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は, 変動する場面における規則性の潜在学習を検討するためのパラダイムを構築し, 視覚場面がかなりの大きさの変動を伴う場合にも, 規則性が潜在的に学習されることを明確に示した。一方, 「どのように規則性が抽出されるのか」という問題についてはある程度進展させることができたが, 当初の仮説を支持する結果は得られておらず, さらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は「どのように規則性が抽出されるのか」という問題について, これまでに行った約200名分の行動実験のデータを再解析することで理論の構築を試みる。さらに, 課題遂行中の眼球運動を測定し, 「潜在学習が視覚的注意に及ぼす影響」を調べる。画面呈示後のサッカードの方向, 注視点の数を分析することにより, 潜在学習が注意のどの段階に影響を及ぼしているのかを明らかにする。以上の検討により, 変動する視覚場面の潜在学習過程を総合的に解明するという研究目的を達成する。
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Research Products
(4 results)