2013 Fiscal Year Annual Research Report
形容詞の普遍性と多様性に関する認知的・類型論的研究
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13J00431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅谷 友亮 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 形容詞カテゴリー / 認知能力 / 認知言語学 / コーパス言語学 |
Research Abstract |
本年度は、結合性、スケール性、時間性という形容詞カテゴリーの意味形成や分類に関わる重要な観点を設定し、言語コーパスの事例観察や内省を通して、それぞれの観点を具体化、深化させた。特に、スケール性に関して、重点化を行った。スケールを形成する「値」という概念を知覚情報として再定義し、外界の情報を獲得する知覚能力や複数の値を識別する比較能力、複数の値をまとめ上げるカテゴリー化の能力、基準の値を形成する能力、値の並べ方を決める解釈の能力というような心理的な認知能力と関連させて、特定の言語の観察を行いつつ、内省を深めて形容詞カテゴリーの意味や概念化に関わる認知的研究をおこなった。また同時に、それらの認知能力と関わるスケール性のパラメターを設定し、具体的に形容詞カテゴリーの意味を分析するための重要な基準を設け、レキシコンの意味を明らかにするべースを構築した。その適用においては、言語コーパスの事例を量的に分析することにより、それぞれの形容詞がレキシコンとしてどのような情報をもっているかを明らかにすることができる。具体的には、日本語形容詞「赤い」「長い」の事例を集中的に収集した。それらに関して、定量的に分析や分類した結果、それぞれのパラメターにて特定のクラスターが形成され、それぞれの語彙の意味や使用の特徴、および形容詞間の意味・用法の違い力明示化された。この研究に関して、学内研究会や研究室発行の「言語科学論集19号」で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究計画に即しておおむね順調に進展していると言える。ただ、スケール性という形容詞カテゴリーの内在的特性に重点を置いたため、他の重要な分析の観点と差がついた。しかし、そのような重点化のために、認知能力との関連性が強ぐ示唆されたため、その点において、計画以上に研究が進んだと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、形容詞カテゴリーの他の内在的/外在的特性を重点化させて、内省やコーパス、または心理実験を通して深化させて、認知能力との関連性を見いだす。また同時に、現在までに対象としてこなかった言語の事例の収集を行い、分析に取り入れていき、理論との整合性を調査する。
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Research Products
(1 results)