2015 Fiscal Year Annual Research Report
狭線幅8eVファイバーレーザーによる超高分解能角度分解光電子分光の開発
Project/Area Number |
13J00432
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 遇哲 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 鉄系超伝導体 / 角度分解光電子分光 / ファイバーレーザー / 非線形光学結晶 / 超伝導ギャップ / 高次高調波 / 極低温 / 非従来型超伝導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から定常運転可能となった8 eV励起の高分解能レーザーを用いた光電子分光を行い、Ba1-xKxFe2As2のブリルアンゾーンコーナーにあるクローバーポケットでの超伝導ギャップを精査した。その結果、クローバーポケットにおける超伝導ギャップの異方性は、Kドープ依存性を顕著に示し、K = 0.88ではサイズ1.6 meV程度の等方的なギャップ構造であったのが、K = 0.93, 0.97ではサイズ0 - 1.0 meV程度の異方的なギャップが開くことが分かった。また、K = 0.93, 0.97試料において存在する超伝導ギャップ最小を取る波数空間上での位置が、Kドーピング依存性を持つことも分かった。具体的には、K = 0.93ではフェルミ面のうち、一番ゾーンコーナー寄りの箇所で急激に超伝導ギャップが小さくなり、最小値を取る一方で、K = 0.97ではゾーンコーナー寄りの箇所で超伝導ギャップは小さくならないという大きな違いがある。その代わりK = 0.97ではゾーンセンターに近いフェルミ面の位置で超伝導ギャップが急激に小さくなる。こうした異方性の急激な違いがKドープ僅か3 %の違いで引き起こされ、熱伝導率の結果も加味すると、この違いは「ゾーンセンターFSとゾーンコーナーFS間のinter-band scattering」、「ゾーンセンターの2つのフェルミ面間のinter-band scattering」、「ゾーンコーナーFSにおけるフェルミ面内 KZ 方向でのintra-pocket scattering」という3種類のペア散乱の競合関係のうちどれが当該組成で支配的かということによって決定されるという内容を示唆する考察を得た。以上により、Ba1-xKxFe2As2のKオーバードープ領域では、スピン揺らぎが超伝導発現に支配的な役割を示すことが明らかとなった。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Quadratic Fermi node in a 3D strongly correlated semimetal2015
Author(s)
Takeshi Kondo, M. Nakayama, R. Chen, J.J. Ishikawa, E.-G. Moon, T. Yamamoto, Y. Ota, W. Malaeb, H. Kanai, Y. Nakashima, Y. Ishida, R. Yoshida, H. Yamamoto, M. Matsunami, S. Kimura, N. Inami, K. Ono, H. Kumigashira, S. Nakatsuji, L. Balents & S. Shin
-
Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 10
Pages: 1038
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-