2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES/iPS細胞から肝細胞への高効率分化誘導法の開発とその創薬応用
Project/Area Number |
13J00448
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高山 和雄 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒトES/iPS細胞 / 肝細胞 / 薬物代謝 / 創薬 |
Research Abstract |
本研究では、創薬応用可能な肝細胞をヒトES/iPS細胞から作出することを目的としている。これまでに若い継代数に限るが、iPS細胞には元の由来細胞の情報がエピジェネティックな形で「記憶」されており、特定の組織細胞から樹立したヒトiPS細胞は同一組織細胞への分化指向性が高いことが示唆されている。そこで、我々は山中4因子搭載センダイウイルスベクターを用いてヒト初代培養凍結肝細胞(PHH)からiPS細胞を樹立することを試みた。山中4因子をPHHに遺伝子導入することにより得られた細胞は、典型的なヒトES/iPS細胞様の形態を示し、アルカリフォスファターゼ陽性であった。PHHから作製したiPS細胞(iHC-1細胞)におけるOCT4、NANOG、SOX2の遺伝子・タンパク発現を定量的RT-PCR法・免疫抗体染色により評価した結果、いずれの遺伝子・タンパク質の発現も観察された。また、iHC-1細胞は三胚葉に分化可能であることをEB形成法ならびにテラトーマ形成法により確認した。次に、PHH-iPS細胞の肝分化能をヒトES細胞や肝細胞以外の組織細胞から樹立されたヒトiPS細胞と比較した。iHC-1細胞由来の分化誘導肝細胞における肝マーカー遺伝子の発現およびALB産生量は、ヒトES細胞KhES3およびヒトiPS細胞Toe由来の分化誘導肝細胞と比較して有意に高かった。またPHH-iPS細胞(iHC-1細胞)由来分化誘導肝細胞におけるCYP3A4、CYP1A2の薬物代謝活性を評価した結果、ヒトES細胞(KhES3)由来分化誘導肝細胞およびヒトiPS細胞(Toe)由来分化誘導肝細胞と比較して有意に高かった。以上の結果から、PHH-iPS細胞から作製した分化誘導肝細胞は、ヒトES細胞および肝臓以外の組織由来ips細胞から作製した分化誘導肝細胞よりも高いCYP代謝能を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、創薬応用可能な高い肝機能を有するヒトES/iPS細胞由来肝細胞を作製するために、ヒト初代培養肝細胞からiPS細胞を樹立した。ヒト初代培養肝細胞から樹立したiPS細胞はヒトES細胞や肝細胞以外の組織細胞から樹立されたiPS細胞と比較して、高い肝分化能を有していることが確認された。本研究成果により、従来よりも高い肝機能を有するヒトES/iPS細胞由来肝細胞が作製できた。本年度は、4報の学術論文を発表し、5回の学会発表を行った。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに肝機能の高いヒトES/iPS細胞由来肝細胞を作製するために、肝細胞分化誘導技術の改良に取り組む予定である。具体的には、三次元培養や共培養を実施する予定である。また、特定の薬物代謝酵素の発現が高いヒト初代培養肝細胞からヒトiPS細胞を樹立し、分化誘導肝細胞を作製することで、特定の薬物代謝酵素が高い分化誘導肝細胞を作製できるか調べる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] CCAAT/enhancer binding protein-mediated regulat ion of TGF β receptor 2 expression determine the hepatoblast fate decision2014
Author(s)
Takayama K., Kawabata K., Nagamoto Y., Inamura M., Ohashi K., Okuno H., Yamaguchi T., Tashiro K., Sakurai F., Hayakawa T., Okano T., Furue MK., Mizuguchi H.
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Journal Title
Development
Volume: 141
Pages: 91-100
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] HHEX Promotes Hepatic-Lineage Specification Through the Negative Regulation of Eomesodermin2014
Author(s)
Watanabe H., Takayama K. (co-first author), Inamura M., Tachibana M., Mimura N., Tashiro K., Nagamoto Y., Sakurai F., Kawabata K., Furue MK., Mizuguchi H.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 9
Pages: e90791
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Comparison of Hepatic Functions Between Genetically Identical Primary Human Hepatocytes and Human iPS-Derived Hepatocyte-Like Cells2013
Author(s)
Takayama K., Morisaki Y., Furukawa N., Higuchi M., Ootaka M., Nishimura K., Nakanishi M., Tachibana M., Sakurai F., Kawabata K., Mizuguchi H.
Organizer
第28回日本薬物動態学会年会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2013-10-10
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