2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00451
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 かおる 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 花 / 雌雄差 / 花食者 / 送粉者 / ヒサカキ |
Outline of Annual Research Achievements |
花と花食性および送粉性昆虫との相互作用の中で、花の雌雄差がどのようにして生み出されるのかを明らかにすることを目的に、雑居性雌雄異株植物ヒサカキを材料として研究を進めている。 前年に続き、花の大きさ、花蜜の雌雄差と送粉者数について再解析を行い、(1)雄花は雌花より大きいこと、(2)花蜜糖度は雄花より雌花で高いこと、(3)雄花と雌花で送粉者数に有意な差は見られないこと、(4)雄では花弁の大きさが送粉者数と正の相関にあるが、雌ではそうでないこと、(5)雌では花蜜糖度が送粉者数と正の相関にあるが、雄ではそうでないこと、を明らかにした。これらの結果は、雄花では送粉者数を多く呼ぶための広告として、機能すると考えられている花弁が、雌花では送粉者を呼ぶための報酬として機能すると考えられる花蜜が、送粉者の誘引に寄与していることを示唆している。 防御を含む複数の花形質の雌雄差や花食害に関わる測定、実験結果の再解析も前年に続き行った。その中で、花弁を除去しても花粉添加すれば結実率は低下しないが、花粉を添加しなければ、自然状態に比べ結実率が半分ほど低下することが明らかになった。このことは、ヒサカキでは、花弁の損傷が送粉者の誘引を低下させることを示唆している。 また、ヒサカキ以外の植物、ミミュルスを材料に、花食者と送粉者の関係に焦点をあて研究も行った。この研究では、野外で花食害の頻度と送粉者の訪花に負の相関がみられることを明らかにした。そこで、この負の相関は、前述のヒサカキ同様花弁の損傷が送粉者の誘引を低下させたためではないかと考え、花弁を損傷させる実験を行ったが、この予測を支持する結果は得られなかった。野外観察及び実験結果を解析する中、野外で見られた花食害と送粉者の訪花頻度の負の相関は、送粉者が好む花の場所と、花食者が好む花の場所が異なることによりみられているのではないかと考えられた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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