2013 Fiscal Year Annual Research Report
回転球面上の乱流からのパターン形成に関する理論の構築
Project/Area Number |
13J00465
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 泉 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 球流体力学 / 準地衡方程式 / ゾノストロフィー / 回転球面 / 浅水方程式系 / 赤道ジェット |
Research Abstract |
(長波極限の準地衡方程式について) 準地衡方程式の一つの極限形である「長波極限の準地衡方程式」に着目した。まず、長波極限において保存量ゾノストロフィーの数式がとる、正しい漸近形を導出した。この漸近形の波数空間での分布より、ゾノストロフィーを保存する乱流からは、等位相線が60~90度傾くパターンが卓越することを予想した。次に、ゾノストロフィーが保存するための条件を明らかにし、そのような条件下で実際に上記のパターンが卓越することを数値シミュレーションで確かめた。更に、このようなパターンを持つことが観測結果より報告されている海洋の傾圧Rossby波が、ゾノストロフィーが保存する条件を満足していることを明らかにした。以上の成果は英文雑誌「Physics of Fluids」に掲載済みである。 ・研究2(回転球面上の乱流について) 回転球面上の浅水系強制乱流の数値実験によって木星や土星で観測される赤道の西風を、ロバストな結果として初めて再現したScott and Polvani (2008)の研究に着目した。まず、数値モデルを作成して再現実験を行い、赤道付近での西風の形成を確認した。次に、ハフ関数(浅水系の固有モード)がNewton冷却の項によって受ける変形を調べ、位相速度が西向きのモードは位相が西に、東向きのモードは位相が東に傾くことを明らかにした。更に、弱非線形な枠組みで、Newton冷却項によるハフ関数の位相の傾きが引き起こす平均流加速を理論的・定量的に評価した。この理論より予測される平均流加速の時間発展は、始めの再現実験で得られた平均流の時間発展とよく一致した。これより、ロバストな赤道西風は、固有モードの位相の傾きによる赤道西風加速が主な要因であることが確かめられた。以上の成果は現在論文として取りまとめ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目に行う計画であった長波極限の準地衡方程式にっいての研究が予定通り完了した。更に2年目に行う計画であった、回転球面上の乱流における赤道ジェットの成因の研究も、論文化の段階に入った。以上より、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の計画以上に進展しているため、2年目の計画が早めに完了した場合には、3年目の計画に前倒しで着手する予定である。
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