2013 Fiscal Year Annual Research Report
偏析形成を再現する固液共存状態のせん断モデルの構築・モデルを用いた偏析機構の解明
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13J00488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 周吾 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固液共存体 / 2流体モデル / バンド状偏析 / 不均一変形 / 衝突・再配列 / 遠心鋳造 / X線イメージング / 不安定性 |
Research Abstract |
金属合金における固液共存体の変形は、遠心鋳造や高圧鋳造におけるバンド状偏析、連続鋳造のV偏析といった鋳造欠陥の原因である可能性がある。また当該研究者らの研究グループが行ったX線イメージングを用いた直接観察によって、固液共存体の変形による偏析形成には変形過程において発生する固相粒子の衝突・再配列が深く関係していることが明らかとなった。しかしながら、固液共存体の変形機構は未だ解明されておらず、そのため固相粒子同士の衝突・再配列を考慮した偏析形成を再現するモデルは確立されていない。本年度は固相粒子の衝突・再配列を導入した2流体モデルを検討し、そのモデルを用いて実際に2次元での数値計算を行うことで、本モデルの妥当性の検証を行った。その結果、本モデルを用いた数値計算結果は変形に対して不安定であり、その結果不均一変形が発生し偏析が形成されるという点で、直接観察結果と定性的に一致していた。検討した物理モデルの妥当性を直接観察結果と比較し、実証的に検証できた意義は大きい。また、固相粒子同士の衝突・再配列の影響が大きくなるにつれ偏析形成までの時間が非線形に減少することも数値計算結果より示唆された。このように直接観察の結果を基に現象を考察し、その現象のモデルへの導入を検討、さらにそのモデルを用いて、実験では制御しにくいパラメーターを変えて数値計算結果を行うことで、固液共存体の変形機構に関する知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である固相粒子の衝突・再配列の物理モデルへの導入を行い、固液共存体の変形基礎モデルを確立した。さらにそのモデルを用いた数値計算を行い、直接観察の結果と定性的に一致するような妥当性のある結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の数値計算では、固相のみかけ粘性、固相粒子の衝突・再配列の影響により計算に数値上の不安定性が生じた。この不安定性により時間刻み幅を小さくとる必要があり、現状多くの計算時間を要している。今後は差分式の検討、また導入する固相の衝突・再配列の影響の式の再検討を行うことでこれらの解決を図る。また、本年度行った直接観察と比較したモデルの定性的な評価を発展させて、より定量的な評価を行う予定である。
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Research Products
(2 results)