2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジア主導のグローバリゼーション-アジア発多国籍企業はいかに世界を変えているか
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13J00501
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 瑠麗 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グローバリゼーション / 経済的相互依存 / 国際関係 / 多国籍企業 |
Research Abstract |
アジアの勃興はグローバリゼーションにどのような影響を与え、それを世界に有益な形で進めるには何をすればよいのか、それが本研究が取り組む問いである。本研究のグローバリゼーション理解は、貿易や投資の増大ということを越え、人類の多くが世界をどのような単位で理解し、どのような基本的な世界観、規範意識を持つかということである。本研究では、アジアの勃興を通じ人々の認識がどのように変化し、どのような変化をもたらすかを説明することを試みるに当たり、既存のグローバリゼーション研究の多くとは異なり、変化の本質と、構造的変化の具体的な様態の双方の説明を提供することを試み、これまでのグローバリゼーションの流れに加えて新たに生じつつある、グローバリゼーションを牽引するものとして、アジア発の多国籍企業に着目する。アジアの勃興というマクロトレンドは幾人もの論者が論じてきたことであるが、それに対する悲観論、例えばアジア経済がいかに底上げされたとしても、欧米発の多国籍企業や超大国アメリカの政治的経済的優位のもとに組み込まれ続けるという予測も少なくない。本研究は、アジア発多国籍企業が育っており、それが域内の国内企業の風土の改革を呼び、普遍的な価値観の自発的選択に繋がっていることを例証するとともに、アジア発多国籍企業が欧米市場に浸透して行く過程を通じて、欧米の社会に対してのより閉鎖的でない、より普遍化された価値観を浸透させる結果となっていることを例証すること目的とする。また、その過程で殊に近年政治的軍事的緊張が高まっている東アジアの政治的軍事的情勢が、このような域内グローバリゼーションの進展とどのような関係にあるのかを明らかにしたい。それを通じ、各国民の幅広い分野における価値観が、経済分野における「他者」との触れ合いを経て、どの様に変化するのかを探る一助とすることができるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表を一点行い、またそれを発展させた発表を学内の研究会で行ったほか、国際ワークショップで別の小テーマによる発表を一点行った。新たな着眼点が見つかったため、研究が経済的相互依存仮説との関係を明らかにする部分と、多国籍企業の実態の調査と二部立てになり、研究するべき対象はいささか増えたが、本年度は理論部分の執筆が順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後研究量が増えた分については成果を分けて発表する為、二冊の著書に分けることを予定している。それにより、重要な論点はカバーできるが、一冊において説明対象の範囲が広がることで複雑になりすぎることを防ぐことができると考える。具体的な意識調査やインタビューについては、本科研の研究費による調査に止まらず、外部の資金によるプロジェクトと協力しつつ行っていきたい。
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Research Products
(3 results)