2013 Fiscal Year Annual Research Report
外生菌根菌の種多様性と基質利用能力の違いが宿主植物の養分獲得に与える影響の解明
Project/Area Number |
13J00547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 俊将 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 外生菌根菌 / 微生物群集 / 群集動態 / 地理分布 / 群集合プロセス / 多様性-機能関係 / 生態学 / メタゲノミクス |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、本邦亜熱帯スダジイ林を中心とした外生菌根菌群集(種多様性、群集組成)の解明と、群集による窒素養分獲得特性の違いの検討を通して、外生菌根菌群集の違いが宿主の養分獲得にどのような影響を及ぼすのかを検討することである。本年度の研究成果は以下の通りである。 1、外生菌根菌群集の時間変化、地理的分布パターン 本邦亜熱帯林の調査地において、2年間に渡り外生菌根菌群集の調査を行ったところ、123種の外生菌根菌が検出された。種レベルでは3か月から6か月という時間スケールで群集の入れ替わりが起こることが明らかとなった。この群集の時間変化には、時間による気候要因(気温・降水量)の変化及び、環境の変化に依らない純粋な時間経過における群集変化の両者の寄与が検出された。この研究結果は、複数年に渡り外生菌根菌の群集動態とその要因を検討した初の研究例として、国内外の学会において発表を行い現在、国際的な学術誌へ投稿準備中である。 スダジイと共生している外生菌根菌相が、地理的にどのような分布パターンをもっているのかを明らかにするため、沖縄県から、新潟県までの14か所のスダジイ林において外生菌根菌群集の調査を行った。現在、次世代シーケンサーによるシーケンス解析を終了し、分布パターンの解析を行っている。 2、外生菌根菌の基質利用能力の違いが宿主植物の養分獲得に与える影響の解明 異なる林床基質中での外生菌根菌相の違いは、菌根菌の基質利用能力・選好性を反映しているのかを調査するため、操作実験を行っている。本年度は、調査地における外生菌根菌の宿主であるスダジイの種子を採集し、無菌状態で発芽を行った。その後、無菌のスダジイ実生に、調査地で採集したFH層とミミズの糞塊を摂取することで、基質中の菌根菌について菌根合成実験を行っている(釣菌法)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
室内実験と野外調査・データ解析を並行して行っている。室内実験は、植物生長の遅さから、計画書の予定よりやや遅れているものの、その時間を利用して野外調査のデータ解析・学会発表を大きく進行させた。これにより、課題全体の目的に対しては、順調に進展を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、本年度と同様に室内実験と野外調査で取得したデータ解析を並行して進める。野外調査で取得したデータに関しては、本年度で解析が進んできたため、学術論文の執筆と国際・国内学会での発表を中心に行う。さらに、より発展的な解析を行うため、国内外の研究者と連絡をとり、新奇解析手法の習得を行う。室内実験では、植物生長を細かに記録することで、当初予定していた実験期間を再検討し、期間内に研究目的にかなうデータ取得をできるよう対応を行う。
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Research Products
(3 results)