2014 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマを援用した次世代ワイドギャップ半導体基板の高品位加工プロセスの開発
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13J00581
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
トウ 輝 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単結晶SiC / 単結晶GaN / 砥粒研磨 / 大気圧プラズマ / 表面粗さ / ステップ/テラス構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
①単結晶SiCの研磨におけるステップ/テラス構造の制御メカニズムの解明 これまでの我々の研究では,研磨を行った単結晶SiCの表面には、均一(a-a型)、2回周期(a-b型)、4回周期(a-b-a*-b*型)の3種類のステップ/テラス構造が形成されることが分かっている。4H-SiCの結晶構造に基づいて、研磨における化学作用(改質)と機械作用(研磨)のバランスによって4H-SiCのステップ/テラス構造の制御メカニズムを提案した。そして、セリアスラリーを用いて、研磨ヘッドの回転速度を500rpmから2500rpmまで変化させて、研磨後表面に形成したステップ/テラス構造の周期性の変化と研磨後表面に残留した酸化物を確認し、提案したメカニズムを実証した。単結晶SiCを電子デバイスの作製やグラフェンに成長などの分野に適用する際、表面原子構造はデバイスの性能そしてグラフェンの品質に大きく影響するため、本研究は単結晶SiCの応用に非常に有用だと考えられる。 ②単結晶GaNに対するプラズマ援用研磨法の適用 プラズマ援用研磨法をGaNの平滑化に適用することを目的として、プラズマ照射によるGaNの表面改質条件の最適化を行った。CF4プラズマ照射前後のGaNの表面硬さを測定した結果、CF4プラズマ照射によって、GaNの表面硬さは22.7 GPaから13.9 GPaまで下がることが分かった。また、CF4プラズマ照射によるGaNの表面改質において、基板加熱の有効性を実証した。CF4プラズマ照射後の表面に対して、レジンボンドのセリア砥石を用いて研磨を行い、均一なステップ/テラス構造を有する原子レベルで平滑な表面を得ることに成功した。プラズマ援用研磨は乾式研磨法であるため、従来のCMPのようなスラリーの優先エッチング作用がなく、研磨後の表面にピットが形成されなかった。一方、プラズマ援用研磨はスラリーを使わないため、スラリーの管理や後処理などが必要なく、コストも従来のCMPより低いと考えられ、実用化が強く期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度において、単結晶SiCのステップ/テラス構造の制御メカニズム及び単結晶GaNのピットフリー加工メカニズムを提案して、実験を用いて証明した。従来、研磨における4H-SiCの三種類のステップ/テラス構造の形成が良く報告されたが、メカニズムの提案及び実証は初めてである。提案したメカニズムによって、4H-SiCの表面構造の制御が可能になり、4H-SiCの電子デバイスへの応用に対して非常に有用だと考えられる。一方、従来の研磨方法(化学機械研磨:CMP)を用いてGaNを研磨する際には、加工後表面にピットが多く形成されるに対して、私たちが開発したスラリーフリー乾式研磨法であるプラズマ援用研磨法を適用したところ、ピットフリーかつ原子レベルで平滑な表面が得られた。以上の研究成果に基づいて、私の研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマ改質と軟質砥粒研磨の同時作用装置を用いて、単結晶SiC、単結晶GaNなどの難加工材料の全面加工を行う。これまでの研究では、単結晶SiCと単結晶GaNに対して、プラズマ援用研磨法を用いて、均一なステップ/テラス構造を有する原子レベルで平滑な表面を得ることに成功した。しかしながら、プラズマ援用研磨法の加工速度は200nm/h以下であり、実用化には不十分である。今後の研究の推進方策として、μm/hオーダの高い加工速度を目指して、プラズマ援用研磨の加工装置の改良及び加工条件の最適化を行う。具体的には、砥粒の材質、砥粒の粒径、反応ガスの種類、基板加熱の効果、ドレサーの設置などのパラメータを考えている。一方、ウエハの半径方向の加工量を均一にするため、研磨における試料台の走査速度の制御も考えている。
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Research Products
(7 results)