2013 Fiscal Year Annual Research Report
鞭毛装置構造の比較及び複数遺伝子解析によるケルコゾア門の分類体系の再構築
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13J00587
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白鳥 峻志 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケルコゾア / 原生生物 / 系統分類 / 分子系統解析 / 微細構造 / 鞭毛装置 / 分類 / 多様性 |
Research Abstract |
今年度は研究計画に基づき、今後の研究に用いるケルコゾア生物の培養株の収集を行い、これらについて光学・電子顕微鏡観察及び18SrRNA遺伝子を用いた分子系統解析を行った。一部の培養株については複数遺伝子の配列の取得、鞭毛装置構造の観察を行った。 東京湾、西表島、パラオの海水サンプルから5株のケルコゾア生物の培養株を確立することに成功し、内2株(SRT301株、SRT310株)については18SrRNA遺伝子を用いた分子系統解析の結果、Filosa亜門の新規系統であることが明らかとなった。今後これらの培養株について鞭毛装置構造を含めた形態・微細構造観察を行い、分類学的位置を明らかにする予定である。 複数遺伝子を用いた分子系統解析を行いケルコゾア内の系統関係を解明するために、系統の異なる4株(DA172株、SRT122株、SRT301株、YPF708株)について18SrRNA、28SrRNA、HSP90遺伝子の配列を取得した。 以前に確立したケルコゾア生物の培養株であるSRT104株について形態観察及び分子系統解析行い、本株が環境配列のみが知られている系統群(Novel clade4)に含まれる新属新種のケルコゾア生物であることを示した。これによってNovel clade4の実体が初めて明らかとなった。 以前に確立したケルコゾア生物の培養株であるSRT235株について形態・微細構造観察及び分子系統解析を行ったところ、本株はEndomyxa亜門の新規系統であり、同亜門内で初めて発見された生活環を通じて鞭毛をもっ原生生物であることが明らかとなった。また、本株の鞭毛装置構造はこれまでに報告されているケルコゾア生物のものとは大きく異なっており、ケルコゾア内の鞭毛装置の進化を解明するために重要な生物であると考えられる。 これらの成果については現在投稿論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規系統の培養株の確立などによって今年度に計画していた培養株の収集は順調に進んでいる。一部の培養株については来年度に計画している鞭毛装置の立体構築を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に基づき収集した培養株について18S rRNA、28S rRNA、HSP90遺伝子の配列を取得し、ケルコゾア門全体の複数遺伝子を用いた分子系統解析を行う。その中で系統的に重要であると考えられる培養株については鞭毛装置構造の立体構築を行う。
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Research Products
(1 results)