2013 Fiscal Year Annual Research Report
含リン脱離基法を機軸とするシアル酸含有複合糖鎖の立体選択的合成
Project/Area Number |
13J00596
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿田 浩輔 北海道大学, 大学院生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糖ペプチド / グリコシル化反応 / 含リン脱離基 / シアル酸 / PILRα / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
含リン脱離基法を機軸とするグリコシル化反応の開発研究の一環としてヘルペスウイルス(HSV)の感染阻害活性をもつ糖ペプチドの合成研究を行った。HSVはその表面タンパク質であるglycoprotein B (gB)をヒトの細胞表面に存在するPILRαという受容体タンパクに会合させることで感染することが知られている。PILRαとの結合サイトの一部であるgB由来の糖ペプチドがHSVの感染を阻害することを荒瀬、前仲らが明らかにしている。そこでPIRLα結合活性をもつ糖ペプチドの合成を行った。 これまでに開発した4,6位水酸基をベンジリデンアセタールとして保護した2-アジド-2-デオキシガラクトシルジフェニルホスファートを糖供与体とするスレオニン誘導体のTHF効果を利用するα選択的グリコシル化反応により調製した糖アミノ酸ユニットに対してシアリル化を行った。シアリルジエチルポスファイトを糖供与体とするグリコシル化反応はプロピオニトリル溶媒中TfOHを反応剤とすると-78℃において目的の二糖を収率87%、α : β=83:17で与えた。種々の官能基変換を行い固相合成に適用可能なシアリルTN糖鎖抗原の合成を行った。また、固相合成に適用することで抗ヘルペスウイルス活性をもつ糖ペプチドを合成することができた。糖ペプチドの活性評価を依頼した結果、結合活性(Kd=12μM)を示すことが分かった。今後は糖鎖およびペプチド鎖を改変し、より強力な結合活性をもつ糖ペプチドの合成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PILRαに結合活性を示す糖ペプチドの合成および活性評価を行っていることから研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した糖ペプチドとPILRαとの活性評価およびX線結晶構造解析をもとに更に高い結合活性をもつ糖ペプチドの設計・合成を行う。現段階では糖鎖部ガラクトサミンをグルコサミンやその他の糖に変換した構造の糖ペプチドの合成研究を行っている。
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Research Products
(4 results)