2014 Fiscal Year Annual Research Report
含リン脱離基法を機軸とするシアル酸含有複合糖鎖の立体選択的合成
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13J00596
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿田 浩輔 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリコシル化反応 / 含リン脱離基 / ムチン / 糖ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、含リン脱離基法を機軸とする高立体選択的グリコシル化反応の開発とオリゴ糖鎖の合成を達成してきた。最近、2-アジド-2-デオキシガラクトシルジフェニルホスファートを糖供与体として用いる1,2-シス-α-グリコシド結合の構築法と、ムチン型糖ペプチドコア5および7構造の合成を報告した。本年度は前年度までに本法を用いて合成していた新規作用機序でヘルペスウイルス感染を阻害するシアリルTN糖鎖抗原を有するペプチドの類縁体合成に着手した。糖鎖が阻害活性に及ぼす影響を調べるためにガラクトサミン部をグルコサミンおよび4-デオキシグルコサミンに変換した糖ペプチドを設計した。鍵反応となるグルコサミンおよび4-デオキシグルコサミンとスレオニン誘導体とのカップリング反応はジオキサン/エーテル混合溶媒中、反応剤としてTMSClO4を用いることで高収率かつ高立体選択的にα-グリコシドを与えることがわかった。得られたグリコシドの6位水酸基の保護基を除去し、シアリルジエチルホスファイトを用いるα選択的シアリル化を経て固相合成に適用可能な保護様式をもつ非天然型シアリルTN糖鎖抗原を調整した。それぞれの糖鎖ユニットを用いて非天然型の糖ペプチドを合成し、活性試験を依頼した。当初ガラクトサミン4位水酸基は活性発現に影響を及ぼさないことが示唆されたが、グルコサミン型では活性は16分の1に低下することがわかった。一方興味深いことに4位水酸基を除去した類縁体ではグルコサミン型よりも高い活性を示すことがわかった。現在、さらなる活性の向上を目指し、糖ペプチドの設計・合成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに合成したグルコサミン型および4-デオキシグルコサミン型の非天然型糖ペプチドはガラクトサミン型の天然型の糖ペプチドが標的タンパクであるPILRαに結合する際の結合パターン認識を理解する重要なツールとなる。実際に活性が16分の1に低下したグルコサミン型とPILRαとの複合体のX線結晶構造解析を行い、標的タンパクのアミノ酸構造変化の違いが活性低下の原因であることまでわかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結晶構造を元に構造単純化を含めた新規糖ペプチドの設計・合成を行う。また、並行してTHF効果を活用するα選択的グリコシル化反応の適用系拡張の一環としてヘキセニルビシアノシドの全合成を目指す。
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Research Products
(3 results)