Research Abstract |
平成25年度は, 「地域住高齢者1000名を対象に体力測定と身体活動量の調査を実施し, 生活体力の低下が危惧される身体活動量のカットオフ値を算出すること」を目的に研究を実施した. 今年度は, 福島県と茨城県内で合わせて300名程度の測定会を実施しデータを収集した. 既に収集したデータと合わせて結果をまとめ, 海外学術雑誌1編と国内学術雑誌2編を原著論文として投稿し, 受理された. 具体的な研究内容については, 以下のとおりである。 【課題1-1】課題1身体活動の強度と生活体力との関係 低強度の身体活動や座位行動時間が, 高齢者の主観的な健康感と関連することが先行研究から報告されている(Bumaneta1., Am J Epidemiol, 2010 ; Seguin et al., J Aging Res, 2012). 課題1では, 身体活動指標(カットオフ値)を検討する上で, 着目すべき身体活動の強度を明らかにした. 地域に在住する高齢者799名を対象に, 座位行動, 低強度身体活動, 中高強度身体活動を加速度計によって評価し, 生活体力との関連度をSpearmanの順位相関係数によって検討した. 全ての活動時間は, 生活体力とそれぞれ有意に関連していたものの, 中高強度身体活動時間が最も強く生活体力と関連した. この結果は, 多変量解析を用いても同様の結果であった. 【課題1-2】生活体力の低下が危惧される身体活動量の閾値 課題1の結果から, 総活動量だけでなく, 身体活動の強度にも着目して身体活動量の閾値(カットオフ値)を検討することで, 指標としての有効性が増す可能性が示された. 課題2では, 地域に在住する高齢女性630名を対象に生活体力の低下が危惧される身体活動量の具体的な閾値を検討した. その結果, 生活体力低位を反映する身体活動量の閾値(危険域)は, 歩数であれば5,773歩/日以下, 中高強度身体活動時間であれば, 107.4分/週以下であった. 【意義・重要性等】身体活動量が生活体力に及ぼす効果には, 床効果(Huangetal., Prev Cardiol, 2005)および天井効果(Aoyagi et al.,Gerontology, 2009)が確認されているため, 体力の低下が危惧される具体的な活動量を検討した本研究の意義は高いと考えられる.
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