2013 Fiscal Year Annual Research Report
学習者のスピーキング中における文法形式への注意と文法知識との有機的関連性の解明
Project/Area Number |
13J00724
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 純也 名古屋大学, 大学院国際開発研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 注意 / 意識 / 明示的・暗示的知識 / 口頭産出 / 第二言語習得 / 言語的要因 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 明示的, 暗示的文法知識がどのように学習者の文法への注意と関連しており, その関連性は各文法項目によってどのような差異を持つかを明らかにすることである。その課題遂行にあたって, 学習者が注意を向けやすいのはどういった部分で, 逆に学習者が注意を向けにくいのはどういった部分であるかを検討する必要があり, 初年度はその実証的研究を行った。 まず, 学習者の言語運用中における注意の焦点を特定するため, スピーキング課題に従事した学習者から得たプロトコルデータのコーディング方法を提案し, コーディングスキーマを作成した。これにより, 従来の注意測定手法から更に客観的データを得, それを分析することが可能になった。本年度は本手法を用いて以下の実証的実験研究を遂行した。 さまざまなタイプのタスク遂行中の負荷が学習者の課題遂行中における注意の焦点に与える影響を記述した一連の研究では, パフォーマンスのみを分析すると「注意が当たりやすい」と結論付けられる現象に対して, 学習者の発話プロセスに焦点を当てた際には同様の結果が得られないことを示唆し, 従来より用いられてきた手法の再考を要請する結果となった。 学習者が言語産出中に言語形式へ向けう注意について学習者のパフォーマンスデータとインタビューデータを用いて質的に記述した研究では, 学習者が発話中に注意を意味処理から言語形式に移す「引き金」となる二種類の異なった要因を特定し, 「学習者が注意を向けやすいのはどういった部分で, 逆に学習者が注意を向けにくいのはどういった部分であるか」を解明する大きな手がかりとなるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述の通り, 研究課題を遂行するに当たり, 細分化された一つのテーマを解明する大きな手がかりとなる研究結果が得られた。これは, 次年度以降の研究を進める上でも大きな推進力となる研究結果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は, 本年度に引き続き「学習者が言語を産出する際に注意を向けやすいのはどういった部分で, 逆に学習者が注意を向けにくいのはどういった部分であるか」に関する検討を行う。同時に, その注意を向けにくさ・向けやすさがどのような要因によって規定されているかを, 目標言語構造の持つ言語的特徴に触れながら実証的に研究を行う。
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Research Products
(11 results)