2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00739
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅見 拓哉 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Klf5 / 初期胚発生 / 多能性 / Nanog / F9fR-MAPK経路 |
Research Abstract |
これまでに、ノックアウトマウスの解析により転写因子Klf5は初期胚化生過程においてFgfR-MAPK経路を抑制的に制御することにより正常な胚化生過程、特に内部細胞塊におけるNanog陽性の多能性細胞の発生を保証していることを見出してきた。そこで、本年度はKlf5によるFgfR-MAPK経路の制御メカニズムを明らかにするため、以下の研究を行い成果を得た。 1. 単一細胞レベルでのFgfR-MAPK経路制御機構の解析 初期胚化生過程では、Fgf4は傍分泌シグナルとして内胚葉系列の分化に機能していることが報告されている。したがって、Klf5がFgfR-MAPK経路を介してどのように制御しているかを明らかにするためには、単一細胞レベルでの解析が必要である。これまでにNanogやGata6、Cdx2を始めとした各細胞系列の分化段階の初期に排他的に発現する遺伝子の発現を解析した結果、これまでの報告と同様に内部細胞塊において、Nanog陽性細胞でGata6を始めとした内胚用系列の分化関連遺伝子の発現が低く、Gata6陽性でNanogの発現が低いモザイク状の発現パターンを示していることを確認した。今後、Fgf4を含めたFgfR-MAPK経路に関する遺伝子の発現を解析していく。 2. FgfR-MAPK経路の遮断によりレスキューしたKlf5 KO胚の発生能評価 FgfR-MAPK経路を遮断することにより、Klf5 KO胚の内部細胞塊にNanog陽性の多能性細胞が出現し、表現型が有意にレスキューされることを見出したが、発生能を有するかどうかを調べるため、偽妊娠仮親♀マウスに移植を行った。着床後7.5日胚において解析した結果、Klf5 KO胚は存在しなかったが、空の脱落膜が複数個存在したことから、着床後の発生を維持できなかったものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一細胞cDNA増幅法の実験系を構築し、初期胚化生時における遺伝子化現を単一細胞レベルで解析することに成功した。Klf5によるFgfR-MAPK経路の制御メカニズムの解析が今後の課題である。また、FgfR-MAPK経路の遮断により、Klf5 KO胚が着床反応を示すことを見出した。以上から、当初の計画と照らしあわせて概ね計画通りに進んでいるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Klf5 KO胚より採取した単一細胞由来のcDNAサンプルを用いて、FgfR-MAPK経路関連遺伝子の発現を解析し、Klf5によりどのようにFgfR-MAPK経路を制御しているかを明らかにする。また、ES細胞においても初期胚化生過程と同様にKlf5がFgfR-MAPK経路の制御を介して多能性の維持に寄与しているかどうかを明らかにするため、Klf5 KO ES細胞におけるMAPK経路の活性化状態、FgfR-MAPK経路関連遺伝子の発現を解析する。また、同様のメカニズムが他のKlfファミリーの遺伝子も有するかどうか、Klf2およびKlf4のノックダウンを行い、遺伝子解析を行う。
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Research Products
(4 results)