2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00739
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅見 拓哉 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 初期胚発生 / 多能性幹細胞 / 初期化 / 内部細胞塊 / Klfファミリー / Fgfシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 Oct4、Sox2、NanogはES細胞の維持においてcore circuitを形成し、協調的に機能していることに加え、発生過程や体細胞の初期化においても機能している。山中4因子の中でもKlf4は初期胚発生およびES細胞の未分化性維持には必ずしも必須ではない。Klf4はKruppel-like factor familyに属する転写因子であり、ES細胞においてはKlf2、 Klf4およびKlf5が重複した機能を持つことにより自己複製を維持していることが報告されている。これまでに我々は、Klf5は他のKlfファミリーと異なり、ES細胞の自己複製および初期胚発生過程に重要であることを明らかにした。しかし、Klf5によるマウス初期発生の制御機構、マウスES細胞の自己複製機構は分子レベルでは殆ど明らかにされていない。本研究では初期胚発生及び多能性幹細胞におけるKlf5の機能をより詳細に解明することを目的とした。 【結果】 研究項目1) Klf5 欠損(KO)マウスに加え、Klf5過剰発現マウスを樹立し、初期胚発生における表現型を解析した。Klf5 KO胚ではFgf-ERK経路が過剰に亢進していることを見出し、胚盤胞期の内部細胞塊は内胚葉系列への分化が誘導されていた。一方、過剰発現マウス胚では内胚葉系列への分化が抑制されていたことから、Klf5は内部細胞塊の内胚葉系列への分化を制御していると考えられる。 研究項目2)Klf5 KO ES細胞を解析した結果、初期胚同様にFgf-ERK経路が活性化していることを見出した。Klf5 KO ES細胞にKlf2/Klf4/Kl5を過剰発現し、表現型のレスキューを試みたが、Klf5以外ではFgf-ERK経路の亢進を抑制出来なかった。これらから、Fgf-ERK経路の制御はKlf5に特有の機能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1)今年度はKlf5過剰発現マウス胚の表現型解析を中心に進めた。その結果、Klf5過剰発現胚ではNanog陽性細胞数の増加、内胚葉系列マーカー陽性細胞数の減少が観察され、Klf5が内部細胞塊の内胚葉系列への分化を制御していることを見出した。 研究項目2)Klf5 KO ES細胞のウエスタンブロッティングにより、Klf5 KO ES細胞においてリン酸化ERKが増強されていることを見出した。また、Klf2やKlf4ではリン酸化ERKの亢進をレスキューできないことからFgf-ERK経路の制御はKlf5に特有の機能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られた結果を元に論文投稿の準備を進めている。 Fgf-ERK経路の制御はKlf5に特有の機能であると考えられるため、Klf5 KO ES細胞およびKO ES細胞にKlf2/Klf4/Klf5を過剰発現させ、表現型のレスキューを試みたES細胞を用いて行ったマイクロアレイ解析の結果をより詳細に解析し、Klf5に特有の標的遺伝子の同定を試みる予定である。 今後は細胞の初期化過程やES細胞におけるKlf5の機能の解析を進め、Klf5が多能性の獲得および維持をどのように制御しているのか明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)