2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフェントン反応を用いた微量有害物質除去に関する研究
Project/Area Number |
13J00767
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
稲垣 嘉彦 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 植生浄化技術 / 難分解性物質 |
Research Abstract |
本研究は、水生植物が有する過酸化水素を用いて、外部から二価鉄を供給することでフェントン反応を起こし、植物のみでの処理が困難であった物質を処理可能にする新たな植生浄化技術(バイオフェントン法)の開発に関するものである。植物の生育を阻害させない程度の鉄濃度(数mg/L程度)を供給することでモデル難分解性物質であるペンタクロロフェノール(PCP)が長期安定的に処理されうるかという点を中心に検討した。3日ごとに被処理水のみを交換し植物は実験期間を通じて同じものを用いる半連続処理実験を、初期二価鉄濃度1mg/Lおよび10mg/Lの各条件に対して行った。初期二価鉄濃度を1mg/Lに設定した場合、対照系と比較してバイオフェントン法による有意なPCP除去が確認できなかった。一方、10mg/Lに設定した場合、実験開始15日までは対照系と比較して有意なPCP除去(初期濃度と比較して6割程度の除去)が確認された。しかし、3日間の除去の大部分が鉄添加によるものではないことが溶液のpHを調整して鉄を添加せずに行った実験から明らかになった。もっとも、鉄含有溶液に暴露されると植物体内の過酸化水素が減少することは実験的に確認され、植物体に接近した物質が植物近傍の局所的に過酸化水素濃度が高い場所で処理されている可能性がある。また、将来的に人工湿地へ適用することを見据えて、鉄粒子を内部に保持した固形物(レンガ)を作製しバイオフェントン法における鉄供給法についても並行して検討を行った。しかし、中性域では溶存酸素の影響で鉄さびが生じてしまいレンガ内部からの二価鉄イオンの溶出を阻害してしまうことが確認された。バイオフェントン法を適用する際には鉄の沈澱を防ぐ対応が必要であり、pH4~5の酸性域で処理するか、またはフミン質や有機リガンドを投与するなどの方法を採用すべきことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
難分解性物質の効率的除去および植物の生育が維持されるという観点でバイオフェントン法が有効に機能しない条件(鉄濃度、鉄供給法)を探ることができたが、バイオフェントン法が有効に機能する条件を明らかにすることができていないため。結果として、数学モデルの構築までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
難分解性物質を効率的に除去することと植物の生育を阻害させないことを両立させるためには、二価鉄イオンのみでなく形態が異なる鉄化合物がポイントになる可能性があり、種々の鉄化合物に対して検討を進めていく。
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Research Products
(2 results)