2014 Fiscal Year Annual Research Report
障がいを持つチンパンジーにおける認知実験のリハビリテーションへの応用
Project/Area Number |
13J00801
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻庭 陽子 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 動物福祉 / チンパンジー / 動物行動 / リハビリテーション / 実験心理 |
Outline of Annual Research Achievements |
人において病気やケガなどで障がいをもった場合、適切なリハビリテーションをおこなうことで回復および悪化防止につながる。近年、動物でもこのようなリハビリテーションの重要性が議論されてきている。これまでのところ、イヌやネコなどの伴侶動物ではそのリハビリテーション法が確立しつつあるが、動物園などで飼育されている大型の野生動物などについては、方針・方法の確立にいたっていない。しかし、希少動物やまだ繁殖可能な年齢の動物が障がいをもった場合、地球規模の保全や飼育下での個体管理等に影響を及ぼす。また、コントロールが難しい動物においては、ケアをする人にリスクも伴う。そのため、早急に飼育下野生動物の安全かつ効率的なリハビリテーション法を研究する必要がある。 本年度は名古屋市東山動植物園で病気で左上腕を切断したチンパンジーとその群個体の観察及び分析をおこなった。障がいをもつ当該個体は、障がいをもつ前と比較して移動と社会行動の割合が減少していることが分かった。一方他の個体においては行動に大きな変化はほとんどなく、当該個体に対するグルーミング時間の割合も有意な差は見られなかった。このことから、障がいをもつチンパンジーの群れ復帰及び群れ内でのケアの仕方が考察できるとともに、他個体が障がいをもつ個体に対して以前と対応に変化がみられないことから、福祉と闘争管理、また飼育者側の視点からも重要な知見を得られた。これらの知見等はシンポジウム等で発表をおこない、論文作成の準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定以上に論文作成に時間がかかった。また一度投稿した内容がリジェクトされてしまったため、再度投稿しなおすための時間がかかってしまった。 またエボラ出血熱によりアフリカへの渡航もできず、野生のチンパンジーの観察がほぼできなくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは論文の作成に力を注ぐ。また同時並行で実験及び学会発表の準備を進め、博士論文の作成にとりかかる。野生チンパンジーの観察が困難であることから、今後はより個体に注目し、飼育下のチンパンジーを対象に研究を進める。
|
Research Products
(5 results)