2013 Fiscal Year Annual Research Report
物体ベースの注意拡散時における注意資源配分の電気生理学的検討
Project/Area Number |
13J00809
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹谷 隆司 北海道大学, 大学院教育学院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 物体ベースの注意 / 事象関連電位 / 物体単一性 / 群化要因 / 錯視的輪郭 |
Research Abstract |
一つ目の研究成果として、注意選択に対する連結性の役剤を明らかにした。物体の一部に向けた注意は、それに属する特徴に自動的に拡散することが知られている。これまでの諸研究においては注意が拡散する「物体」がどのような刺激構造であるのかについて複数の示唆がなされていた。本研究は連結性と大きさ類似性を直行操作した刺激間で事象関連電位の注意拡散効果を比較するとで「物体単一性亅の役割を検討した。結果として、単一物体性は特別な刺激構造ではなく、複数の群化要因が独立に注意を誘導することが示された(竹谷・河西、心理学研究、印刷中)。 2つ目の成果として、注意選択における色および形類似性の関係を明らかにした。これまで形などの境界特徴よりも色などの表面特徴がより早く処理されると考えられている。本研究は色と形の類似性を直行操作して注意選択に対する境界・表面特徴の関係を検討した。色と形の類似性も注意選択においては同様のメカニズムで選択されることが示された(Takeya & Kasai, CNS annual meeting, 2013)。 更に注意拡散時の処理リソースの配分を検討する実験を行った。注意が物体上を拡散するときに、一定の知覚処理資源量が物体全体に均されるように配分されるのか、あるいは課題非関連な特徴にも注意が「追加される」のかは明らかにされていない。本研究は刺激を持続的に提示したうえで、物体上に提示したプローブ刺激への反応を分析し物体空間上に配分される注意の量を検討した。物体性は錯視的輪郭の有無で定義したが、結果として物体条件間に差は認められなかった(未発表)。このことが錯視的物体に特有なのかを明らかにするために直ちに実験2を行い、連結線による群化が生じる場合と生じない場合について実験を行い、現在分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は電気生理学的手法を用いて、注意拡散時における注意資源の配分量を時間・空間・量という3つの側面から検討することであった。25年度は注意資源の配分量を、時間分解能に優れた事象関連電位を用いて検討し、選択の単位となる知覚表象の性質について詳細な検討を行い、論文化・発表している。さらに空間および量の側面からは、未発表ではあるものの既に実験を行っている。また神経生理学的手法を用い、サルの視覚野における神経活動からも検討することについても、北海道大学医学研究科の田中真樹教授の研究室において、神経活動の記録・分析方法について学び準備を進めている段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、引き続き事象関連電位を用いた実験・分析、および発表を行うとともに、神経生理学的検討を行う。現在、1実検の未分析データ、および2実験の未論文化データがある。26年度の始めにそれらの分析・論文化を行うとともに、平行してサルの訓練、実験パラダイムの策定を行う。論文化に関しては、視知覚および視覚的注意に関する緻密な検討を行っている国際誌に投稿する。未分析のデータについても早々に分析を行い、必要に応じて実験を追加する。サルを用いた実験については、訓練・手術等に少なくとも4か月程度を要する。今年度が最後の年限であることを踏まえて、神経活動の記録・分析、また論文化を急ぐ。
|
Research Products
(1 results)