2014 Fiscal Year Annual Research Report
六射サンゴの骨格形成様式および形態多様化の時空間解析‐生息場と系統進化史の解明‐
Project/Area Number |
13J00866
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千徳 明日香 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 形態解析 / 骨格形成様式 / サンゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマクロな骨格形成様式や形態解析,また,それらの分系統解析を行い,古環境や生息環境と比較しながら進化過程の解明を目的としている.非造礁性サンゴは,造礁性サンゴと同程度の多様性を有し,浅海から深海,熱帯から両極域までと,多様な環境に生息しているにも関わらず研究例が少ない.特に非造礁性サンゴ類の進化史や独自の骨格成長様式,古生態学的な研究は,ほとんど未着手の状態である.そのため,このような高い多様性が,どのような過程を経て生じたのかはほとんど明らかになっていない. 本年度は,マイクロX線CTスキャナーを利用した内部構造の解析を行った論文1本,独自のプログラムでシュミレーションしたサンゴ形態と環境の関係を解析した論文1本の計2本の論文を国際誌に発表した.さらにそれらを造礁性サンゴに応用した論文1本を国際誌に投稿中である.さらに切片作成などの新たな手法を用いて骨格内部の形態形成様式を観察し,論文投稿に向けて準備中である. 本研究ではサンゴの生体と骨格を用いた学際的研究により詳細な「骨格形成様式」の解明が期待されるが,その中でも次の点が特筆される.サンゴ骨格中に,概日リズム,概日時計遺伝子,石灰化過程によって裏付けられた,「1日刻みの目盛り」を設定でき,超高精度の古環境指標を提供できる.原理や方法論は,サンゴ以外での「石灰化プロセス」にも適用可能であり,関連分野の進展が大きく見込まれる.さらに,群体生物の構造的・発生学的な知見は,サンゴで代表される群体生物の「形づくりの仕組み」の解明に直結している.本研究が遂行されれば,地質学と生物学が有機的に融合した学際的分野の飛躍的な発展につながると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,マイクロX線CTスキャナーを利用した内部構造の解析を行った論文1本,独自のプログラムでシュミレーションしたサンゴ形態と環境の関係を解析した論文1本の計2本の論文を国際誌で発表した.さらにそれらを造礁性サンゴに応用した論文1本を国際誌に投稿中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
骨格微細構造の観察,骨格の形成速度,時計遺伝子の発現パターンの結果を組み合わせることで,1日~1年間周期の「骨格形成様式」を明らかにする.また,これらの内容をまとめ国際誌に論文を発表する. 骨格微細構造と分子系統解析データの結果と統合し分類体系を再構築し,その進化史を化石種を含めて議論し,生活様式の変遷とその背景となる古環境の変動を地質記録に基づき解析する.そして『六射サンゴの骨格形成様式及び形態多様化の時空間評価』を試みる.最終的には,これらの結果を用いて,「群体生物の進化モデル」を提唱する.これらの内容をまとめ国際誌に論文を発表する.
|
Research Products
(8 results)