2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子マトリクスによる孤立共役高分子鎖内電荷移動度の絶対定量分析
Project/Area Number |
13J00869
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福松 嵩博 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子内電荷移動度 / TRMC / 導電性高分子 / 電気絶縁性高分子 |
Research Abstract |
本研究者は、共役高分子鎖1本の電子特性を評価すべく、完全非接触分子内電荷移動度評価法の確立を目的として研究を進めてきた。具体的には、時間分解マイクロ波伝導度測定法(TRMC法)と過渡吸収分光法、絶縁マトリクス、アクセプター分子であるペリレンジイミド(PDI)を組み合わせる。これにより、分子間の相互作用を無視でき、かつ、非接触での電荷移動度の評価が可能となる。この時、移動度を評価するための条件として、測定試料、PDIが共にマトリクス中に分散する必要がある。以前、PDIを分散させるために、スチレン-PDIコポリマーの分子設計・合成を行い、P3HTの分子内電荷移動度μ=約0.2cm^2V^<-1>s^<-1>を定量することに成功している。今回、ポリスチレンの代わりに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を絶縁マトリクスとして用い、高分子の形態と分子内電荷移動度の相関を得ようとを考えた。まず、PMMA中にPDIを単純混合させたところ、ポリスチレン同様に、PMMA中でのPDIの凝集が確認された。そこで、スチレン-PDIコポリマーと同様の手順で、MMA-PDIコポリマーを設計・合成を行った。マトリクス中でのPDI分子の分散を確認するため、紫外可視分光スペクトル、蛍光スペクトルの測定を行ったところ、スチレン-PDIコポリマーと同程度のPDIの分散が達成されているという結果が得られた。しかし、このコポリマーを用いてP3HTの分子内電荷移動度評価を試みたところ、過渡吸収分光によるPDIラジカルアニオンのピーク強度が小さいために、分子内電荷移動度の評価には至らなかった。これは、ポリスチレン中に比べ、PMMA中でのP3HTとPDI間の電荷分離効率の減少が原因であると考えられるが、詳細については現在検討中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である、『高分子の延伸による配向』については進展していない。一方、『絶縁マトリクスの材料を変えることによる光電気伝導度の変化』に関しては、順調に研究を進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べたように高分子の延伸による配向について、今後研究を進めいていく予定である。それと並行し、n型共役高分子の分子内電荷移動度測定に対応した、p型絶縁マトリクスの設計・開発を進めていきたいと考えている。
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