2013 Fiscal Year Annual Research Report
光格子中の量子縮退混合系を用いたアンダーソン・ハバード量子シミュレータの実現
Project/Area Number |
13J00931
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 秀樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子 / 量子縮退気体 / 光格子 |
Research Abstract |
本研究課題実現のためには、極低温Yb-Li間の相互作用制御技術の開発が重要である。本研究では、準安定励起^3P_2状態Ybと基底^2S_<1/2>状態Li間の磁場フェッシュバッハ共鳴を用いることを考えている。 そのための第一歩として、波長1064nmの光格子中に導入したYb-Li混合系に対して、Ybの超狭線幅光学遷移(^1S_0-^3P_2)を用いた507nm分光実験を行った。Yb単体に対するスペクトルでは、1本のブロードなピークが観測された。理論計算に見られるような構造は測定精度のために観測されなかったが、その幅はほぼ一致することが確認できた。混合系のスペクトルにおいても同程度の幅のブロードなピークが観測されたが、Liの存在がスペクトルに与える明瞭な影響は観測されなかった。 Ybのスペクトルに与えるLiの影響が小さい理由としてば蒸発冷却の最終段階で、重力サグのためにYbとLi原子集団の空間的なオーバラップが少なくなってしまっているためだと考えられる。この重力サグを補正するために、波長532㎜のレーザーの光双極子力を用いることにした。この波長532nmの光は恥に対して引力、Liに対して斥力としてはたらくので、原子集団のわずかに上方に当てると、レーザーの強度勾配によりYbを上に引き上げ、Liをわずかに押し下げる力が働き、原子集団のオーバーラップを増やすことができる。 また、より高い分解能、高感度なスペクトルを得るために、波長532nmの光格子、および発光イメージングを用いることにした。波長532nmは1064nmに比べてエネルギースケールが大きいために、スペクトルの各ピークがより分離して得ることができる。また少数の原子数に対しては波長399nmの光による高感度発光イメージングによって高いS/N比で測定することが可能になる。現在までにこれらの実験系改善のための光学系の構築が完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光格子中のYb-Li混合系に対する507nm分光を行い、Yb-Li間フェッシュバッハ共鳴探索の重要な第一歩を踏み出すことができた。またその結果、重力サグという解決すべき問題点も発見し、速やかにその解決策を考案し、実験系に組み込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験系に導入した重力サグ補正や発光イメージングなどを実装し、より明瞭な分光実験が行えるよう改善を施した上で、Yb(^3P_2)-Li(^2S_<1/2>)間フェッシュバッハ共鳴の探索を行う。
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