2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00956
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
春木 奈美子 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神分析 / 症状 / 言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、西洋の思想、とりわけ言語をめぐる思想を、ラカンが「症状」と呼んだ現象を規準にして読み直そうとするものである。「言語をめぐる思想を『症状』を規準に読み直す」とは、言語の原点、すなわち言語を可能なものとしている条件は「症状としての言語」であり、これまでの西洋の言語思想は、この「症状としての言語」を捉えようとする格闘の歴史だったのではないか、という仮説のもとに思想史を再解釈することである。 研究第二年目は中世哲学のうち、言語の症状としての側面にもっとも接近したと考えられるドゥンス・スコトゥスの「個体性」の概念に注目した。中世末期の唯名論者ウィリアム・オッカムに直接的な影響を与えたスコトゥスは、存在するものはすべて個体であるとし、神もまた一種の個体、無限(無限定)の個体であるとした。何ものとしても限定・規定できない個体とは、研究第一年目でみてきたように、固有名の定義そのものであり、「症状としての言語」の特徴を捉えたものと考えられた。更にスコトゥスこの概念、すなわち「此性」に注目したジル・ドゥルーズの思想の中に、あらたな個体論のヒントを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
途中に研究(採用)中断を挟んだものの、当初の予定通りに、国内外で文献・資料収集を遂行しつつ、研究を進めることができた。ここまでの研究成果の一部を、単著として発表することができたことは大きな成果のひとつと言える。また、機会を見送ることになった学会発表については、来年度への課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度も、これまでと同様、文献調査・研究が中心となる。後半は、これまでの3年間の総まとめの作業として、学会発表を行いつつ、著書・論文等にその研究成果をまとめる。
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Research Products
(1 results)