2015 Fiscal Year Annual Research Report
海産クマムシ類の進化に関する総合的研究-特に筋肉系と神経系について
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13J00987
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 心太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無脊椎動物学 / 系統分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
海産クマムシ類の系統分類学的研究と筋系・神経系の進化を明らかにするために研究を行った。まず、分子系統学的研究と筋系・神経系の形態学的観察に用いる材料確保のために各地行った採集調査の結果、日本ではまだ報告されていなかった亜科をはじめ多くの未記載種を採集した。前年度に確認した太平洋から報告のない科の存在と合わせると、今回の結果は日本沿岸域に豊富な海産クマムシ相が存在することを示している。未記載分類群の一部については記載論文を執筆し、他のものについても執筆準備中である。本年度採集分も含め、これまでに採集した分類群のうち、核の28S rRNAの増幅できた分類群と核の18S rRNAも増幅できた一部分類群の分子データに加えてGenBankのデータを合わせ、フシクマムシ目7科中6科を網羅したデータセットで分子系統学的解析を行った。その結果は、前年度に行った予備的解析の結果の分解能を高め、信頼性を増強するもので、さらに詳しくこの目内の系統関係を明らかにした。これは、フシクマムシ目さらには緩歩動物門全体の系統進化に重要な知見を多く含んでいたので、これを論文としてまとめた。また解析と論文を執筆する過程で、いくつかの分類群の系統学的重要性が明らかになったので、それら分類群の採集と分子データを追加した。今回の研究で推定された系統関係は、筋系・神経系の比較観察を行う上で、ターゲットに据え詳細に観察すべき分類群の大幅な変更を迫るものである。新たに観察の必要となった分類群は希少分類群(本研究で採集に成功した太平洋未報告科や海底洞窟・深海性の科など)で、採集を試みたものの観察に用いるサンプルの数を揃えることができなかった。本研究は、筋系・神経系の比較研究で大きな進展をみせることは叶わなかったが、海産クマムシ類の進化学的研究に大きく寄与したものである。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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