2014 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス、セロトニン異常と自閉症様行動との関連解析
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13J00993
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福本 景太 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症 / シナプス動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な自閉症モデルマウスに共通する中間表現型、シナプス動態異常の原因を解明するため、自閉症様行動を示すpatDp/+マウスを基に研究を進めた。具体的には、patDp/+マウスにおいて重複している染色体領域上の各遺伝子を、野生型マウスの大脳皮質へ遺伝子導入し、in vivoイメージングにより経時的にポストシナプスの形態変化を追った。その結果、重複領域内遺伝子の一つ、Ndnがシナプス動態異常に大きく関与しているという結果を得た。 次にシナプトソームを用いた質量分析解析を行った結果、patDp/+のシナプスではp53に制御される因子群の発現が変化していることがわかった。Ndnとp53は結合することが知られているため、p53との結合機能を失うN末欠損型Ndnを用い、シナプス動態への影響を検討した。その結果、p53とNdnの結合がシナプス動態の亢進には重要であることがわかった。 次にp53がシナプス動態に与える影響を検討するため、野生型p53、R175A変異型p53(転写機能欠失)、そしてプロリンリッチドメイン欠損型p53(ミトコンドリア活性機能欠損)の三つを用い、シナプス動態への影響を確認した。すると、野生型およびR175A変異型ではシナプス動態の亢進がみられたが、プロリンリッチドメイン欠損型ではControl群と差が無くなったことから、p53の転写非依存的機能がシナプス動態の亢進に影響していると考えられた。 以上の結果から、これまでシナプスへの機能が未知であったNdnとp53、そしてその結合が、自閉症モデルにおいて共通してみられた中間表現型、シナプス動態の異常を引き起こしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
patDp/+マウスは、重複領域内に多数の遺伝子を有している。そのため、どの遺伝子がシナプス動態異常を引き起こす原因となるかを調べるためのスクリーニングに多少時間がかかった。しかし無事、当初標的としていた全遺伝子がシナプス動態に与える影響を調べ終わり、さらにその中で最もシナプス動態の変化を生じた遺伝子Ndnにおいて、シナプスの動態異常を引き起こすメカニズムの一端を明らかにした。 以上のことから、自閉症に共通する中間表現型であるシナプス動態異常の発症メカニズムを明らかにしたという点において、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの結果から、Ndn、そしてp53がシナプスの動態異常に重要であることが示唆された。そこで今年度はまず、どのようなスパインがNdnにより動態異常を生じているのかを明らかにするため、様々なシナプス関連タンパク質の抗体を用い、Ndn過剰発現時におけるポストシナプスのプロファイリングを行う。 また、神経細胞としての機能的変化を検討するため、Ndnを遺伝子導入した大脳皮質のスライスを用い、パッチクランプ法など、電気生理学的な解析を行うことで、Ndnの発現上昇により、patDp/+マウスの神経細胞においてどのような変化が生じているのかを明らかにしていく予定である。 さらに、patDp/+マウスのシナプス動態異常をレスキューするため、Ndnのノックダウン用プラスミドをpatDp/+マウスの大脳皮質へ遺伝子導入し、シナプス動態が正常に戻るかを検討する。
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Research Products
(1 results)