2013 Fiscal Year Annual Research Report
現存模本に基づく「年中行事絵巻」原本図様の想定復元研究
Project/Area Number |
13J01014
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
五十嵐 有紀 東京芸術大学, 美術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 絵巻 / 平安時代 / 作画技法 / 模写・模本 / 図像の復元 |
Research Abstract |
特別研究員申請書において、消失した「年中行事絵巻」原本と模本との間で生じている問題点を以下の4項目に大別し、段階的に解決するとした。 【A. 場面順序の研究について】 中心となる模本と参考作品のデータ収集は終了した。現存模本の多くが住吉本の又写しであったため、主に住吉本図像に含まれる錯簡について調査した。 現在は、模本制作者(如慶・具慶)筆で住吉本と関連する創作作品の資料を探している。参考作品の調査では「伴大納言絵詞」と芸大I本「年中行事絵巻」を熟覧した。 【B. 場面構成の研究について】 現在、復元下図を制作している。 【C. 模写精度の研究について】 研究の軸となる住吉本の模写態度や制作工程に関して考察を行った結果、如慶らが原本図像の記録を目的として住吉本を制作した意図が汲みとれた。 一方で住吉本図像の描写を考察した結果から、住吉本および原本の制作時の制作工程について独自の推測を立てるに至った。料紙の製作・加工については、気象の影響を受けて遅延している。 【D. その他について】 現在、論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き復元下図を制作し、極力早い段階で想定復元本1年中行事絵巻」の制作に着手することを目指す。今後行う消失した作品の復元作業は、参考作品の情報があるとはいえ非常に困難な作業となることが予測できる。そのため、参考作品の予備調査から得られた見解のほか、文化財保存の目的で行われた科学分析調査の報告書も参考にしながら制作工程を推測し、図像の再現を試みる。
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