2013 Fiscal Year Annual Research Report
ぜん動運動を模擬した胃モデル装置による食品消化動態のin vitro評価系の構築
Project/Area Number |
13J01035
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神津 博幸 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒト / 胃消化 / ぜん動運動 / 固形食品 / in vitroモデル / 直接観察 / 物理的消化 / 化学的消化 |
Research Abstract |
(1)背景と目的 : 胃における食品の消化状態は、その後の腸における栄養成分の吸収に大きな影響を及ぼす。胃での食品の消化動態を定量評価することができれば、消化能が低い高齢者や消化器疾患患者を対象とした消化・吸収性の高い食品開発に応用できる可能性がある。しかし胃消化の定量的な研究例は少なく、特に固形食品の微細化等の物理的な消化を担うとされるぜん動運動を考慮した研究はほとんど行われていない。そこで本研究課題では、ヒトの胃のぜん動運動を模擬した新規in vitroモデル装置、胃消化シミュレーターを用いて、ヒトの胃における食品消化の評価系を構築することを目的とした。目的を下記の小目的に分割し、平成25年度は主に小目的①に取り組んだ。 ①胃での食品が消化される様子を直接観察し、食品消化の基礎的な知見を得る ②消化における物理的な作用と化学的な作用の両方を同時に評価し、それぞれの役割を整理する ③胃における消化特性を考慮した食品物性の探索を行う (2)研究成果 : 胃で主に消化されるタンパク質を含む豆腐を消化試料とした。咀嚼を想定し、初期サイズ5㎜の豆腐と人口胃液(消化酵素+塩酸)を胃消化シミュレーターに入れ、ぜん動運動を発生させた。消化試験を行ったところ、豆腐粒子がリアルタイムに微細化されてゆく様子を直接観察することができた。サイズ分布解析により、消化後の豆腐粒子は、実際の胃から腸へ排出されうるサイズ(2㎜程度)まで微細化されていることが分かった。以上より、小目的①である食品胃消化の基礎的知見を得た。 また、小目的②にも一部取り組んだ。具体的には、ぜん動運動を模擬していない一般的な消化試験法(フラスコ等を用いた振とう法)と胃消化シミュレーターの結果を比較した。その結果、両試験方法では、消化後の豆腐粒子の形状が顕著に異なり、固形食品おけるぜん動運動の物理的な消化効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最初に設定した平成25年度の課題「①胃での食品が消化される様子を直接観察し、食品消化の基礎的な知見を得る」に加え、次年度以降の課題である「小目的②消化における物理的な作用と化学的な作用の両方を同時に評価し、それぞれの役割を整理する」についても取り組むことができたため。 (9. 研究実績の概要参照)
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Strategy for Future Research Activity |
9. 研究実績の概要記載の「小目的③胃における消化特性を考慮した食品物性の探索を行う」を中心に研究を行う。具体的には、物性の異なる固形食品試料を用いて、胃消化シミュレーターでの消化挙動を解析する。また、試料の物理・化学的パラメーターを変え、「小目的②消化における物理的な作用と化学的な作用の両方を同時に評価し、それぞれの役割を整理する」を考慮した取り組みも適宜進める。
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