2014 Fiscal Year Annual Research Report
海産甲殻類ワレカラ属の雌雄における第2咬脚を中心とした武器の適応進化を探る
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13J01080
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹下 文雄 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科 (水産), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 甲殻類 / 分泌腺 / 分泌顆粒 / 端脚類 / ワレカラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の基盤となる分泌腺構造の確認と物質の特定のため、1) 透過式電子顕微鏡を用いて分泌腺の微細構造を調べるとともに、2) 組織化学的手法を用いて物質の特定を行った。また昨年の11月より、個体群特性の変化に関連した第2咬脚の変異を検証するため、月に1度の定量的な採集および測定・解析を継続している。 1) 透過式電子顕微鏡による分泌腺の微細構造の観察 トゲワレカラ雌雄の第2咬脚について樹脂切片を作成し、透過式電子顕微鏡によりPoison toothおよび指節先端部分を観察した。その結果、雄のPoison toothおよび指節先端、また雌の指節先端において、分泌腺の中心部から分泌細管が張り巡らされており、周辺部に分泌顆粒が存在することを確認した。 2) 組織化学的手法を用いた分泌物質の特定 カテコールアミン類が本属の分泌物質に含まれる可能性について、組織化学的手法を用いて検証した。まず分泌細胞内にクロム親和性顆粒を含むか検証するため、トゲワレカラ雌雄の第2咬脚の組織切片を作成し、クロマフィン親和反応を試みた。その結果、雄のPoison toothにおいて微弱ながら反応が見られた。次にグリオキシル酸法により、より直接的なカテコールアミン類の同定を試みた。その結果、雄のPoison toothにおいて明確な反応が見られ、また雌雄の指節先端においても微弱ながら反応が見られた。これらの結果は少なくともカテコールアミン類が分泌腺内部に局在する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の基盤である分泌物質の特定が当初の予定より困難であり、また昨年度の計画の遅れの影響もあり、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在可能性が示唆されているカテコールアミン類の正確な特定に、HPLC-ECDを用いて取り組むとともに、その定量化を目指す。定量化が出来次第、密度もしくは性比などを操作することで、闘争強度の操作をした中ー長期的な飼育実験を行い、可塑的な武器の強度の変異を捉える。一方で本計画の一部である継代飼育実験に関しては、本研究期間内の完遂が難しいと予想されるが、当初の予定より世代数を減らすなどして対処する。
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