2015 Fiscal Year Annual Research Report
心エコー図検査を用いた左心房の運動性評価:犬心疾患への応用から心不全の病態解明へ
Project/Area Number |
13J01112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大菅 辰幸 北海道大学, 獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 左心房 / 犬 / 心エコー図検査 / 血行動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心疾患の重症度評価における心エコー図検査を用いた左心房の運動性評価の有用性を確立することである。具体的には、(1)犬の臨床例における左心房の運動性と予後(心臓関連死)の関連性を検討し、左心房の運動性評価の予後判定における有用性を評価すること、(2)正常犬において実験的に引き起こした血行動態の変化による左心房の運動性の変化を解析し、心疾患の病態に左心房の運動性がどのように関与しているのか明らかとすること、である。本年度は(2)についての研究、具体的には、左心房の運動性に及ぼす容量負荷の影響の検討を行った。 吸入麻酔薬により全身麻酔処置を行った正常犬に対して、過剰量の晶質液(乳酸リンゲル液)を用いた静脈内輸液による容量負荷を行った。そして、容量負荷前と負荷後に心エコー図検査により左心房の運動性を評価し、その経時的変化を検討した。また、心エコー図検査と同時に心臓カテーテル検査を行い、左心房内圧の代用指標として広く用いられている肺動脈楔入圧を測定し、左心房に与えられている容量負荷の程度を評価した。 容量負荷を開始した後、左心房の運動性は容量負前と比較して亢進した。また、容量負荷により肺動脈楔入圧は上昇し、左心房に対して容量負荷が適切に加えられたことが確かめられた。多変量回帰分析の結果、左心房の運動性と肺動脈楔入圧の間には、二次曲線的関係があることが明らかとなった。このことは、容量負荷により左心房の運動性が一旦亢進した後に低下し始めることを示唆している。 以上の結果から、正常犬において、1)容量負荷により左心房の運動性は亢進すること、2)容量負荷の程度が重症化すると左心房の運動性は逆に低下し始めること、が示された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)