2013 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーアパタイトナノ粒子法を用いた抗癌剤および核酸のデリバリーシステムの構築
Project/Area Number |
13J01119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
呉 しん 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノテクノロジー / 核酸医薬 / 固形腫瘍 |
Research Abstract |
siRNAやmicroRNAは試験管内では切れ味よく抗腫瘍効果をもたらすことから、核酸医薬の創出研究が盛んに行われてきた。しかし、これまでデリバリーの比較的容易な肝臓や腎臓、眼などの疾患以外では顕著な成果が出ていない。特に固形腫瘍に対するドラッグデリバリーシステム(DDS)開発の道は険しく、臨床治験もphase Iにとどまっている。本研究は世界的に停滞している核酸医薬の新しい門戸を日本から開くために、10nm炭酸アパタイト(sCA)粒子による核酸医療を実現すべく必要な前臨床データをそろえ、安全性を確認して臨床応用へ移行させることである。 そのために、この一年間は、市販2種類のvivo用核酸テリハリーシステムと比較してsCAの治療的優位性について検討し、更にマウス及ひ非ヒト霊長類モテルを用いた毒性試験を行い臨床応用への可能性を探った。 研究成果 (1)sCA, Invivofectamine2.0(リホソーム製剤)及びAteloGene(アテロコラーケン)に蛍光標識したsiRNAを内包させ、2種の大腸癌及び頭頸部腫瘍モテルを作成し経静脈的に投与したところ1.5~4時間後にsCAでは他に比べて約4倍高い腫瘍集積性を実現した。最新の高精度ライトシート顕微鏡を用いた評価では、sCAのみあたかもin vitroのように腫瘍細胞内に核酸が充満している画像が多数観察された。 (2)正常組織への分布を評価したところ、肝臓ではsCAの集積は1/3~1/5に低下、肺、腎、脾臓でもsCAの集積を認めなかった。 (3)大腸癌固形腫瘍モテルにおいて、通常の10分の1の量のsurvivin標的siRNAを3種のシステムによって経静脈的に投与したところ、sCAのみが強い抗腫瘍効果を示し、survivinの免疫染色でも標的タンパクの発現抑制か確認された。 (4)マウスモデルを使った高容量(5倍およひ10倍量)のsCAの反復静脈投与、及びカニクイザルモデルを用いたsCA
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想外の研究成果として、新しいナノデリバリーシステムであるスーパーアパタイト超微細ナノ粒子(sCA ; super carbonate apatite)を用いて、インドシアニングリー一ン(ICG)による固形腫瘍のイメージング法を開発した。これまでは、臨床応用を目指した抗癌剤や核酸内包sCAの開発を行ってきたが、今回はICGをsCAに内包することなく、空sCAを用いた画期的なICGによる腫瘍イメージング法考案した。一見、非論理的にも思える本イメージング溝は、in vivo全身投与では固形腫瘍のイメージング効果を示した。現在日本出願申請中である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルでの効果確認および毒性試験は終了し、さらに非霊長類サルモデルでの非GLP基準の毒性試験も終了した。臨床応用への可能性があることがわかった。今後は、GLP基準の毒性試験をクリアし、大量生産する際の品質確保や効果の維持を確認する必要がある。また、sCAに内包するsiRNA/microRNAの選別もする予定である。自研究の過程で挙がってきたものと、文献的に候補となるものの両面から多数拾い上げ、複数の大腸がん細胞に対してsCAで導入し抗腫瘍細胞効果をスクリーニングする。効果の認めたmicroRNAを、マウスやラットの前臨床治験としてのヒト治療モデル(固形がんおよび転移性がん)における抗腫瘍効果を調べて、microRNA内包sCAの創薬を目指す。
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Research Products
(5 results)