2014 Fiscal Year Annual Research Report
磁場が誘起する超伝導・反強磁性共存現象の強相関モデルに基づく理論
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13J01126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畠山 雄気 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超伝導 / 反強磁性 / 常磁性対破壊効果 / FFLO超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、強い常磁性対破壊効果によって共存するd波超伝導・反強磁性秩序の運動量空間での構造について平均場近似に基づいた理論解析を行った。解析の結果、運動量空間においてd波超伝導ギャップノードの近くの領域の準粒子状態が反強磁性秩序化を誘起する事を示した。一方、d波超伝導ギャップ関数の運動量空間内での符号変化の効果の影響によって、運動量空間においてもd波超伝導秩序と反強磁性秩序は互いに増強し合い、この相互増強の影響でd波超伝導・反強磁性秩序共存相が大幅に安定化される事を明らかにした。これらの結果によって、常磁性対破壊効果が誘起する反強磁性秩序化メカニズムの詳細を明確にした。
また最近、CeCoIn5の高磁場低温相での中性子散乱実験において、面内磁場方向の回転により反強磁性変調ベクトルの向きが一次転移的に切り替わる事が観測された。そこで、高磁場低温相がFFLO超伝導秩序と反強磁性秩序の共存相であるという描像によってこの現象を説明できないか検証するため、常磁性対破壊効果によって誘起されたFFLO超伝導・反強磁共存相における反強磁性変調ベクトルの面内磁場方向依存性について理論解析を行った。 微視的理論から導出したGinzburg-Landau自由エネルギーに基づく解析の結果、反強磁性変調ベクトルはFFLO超伝導状態のノード面に並行になろうとする傾向がある事が示された。また一方で、dx2-y2波超伝導ギャップによる異方性、及びCeCoIn5のフェルミ面における状態密度の異方性は、反強磁性変調ベクトルをdx2-y2波ギャップノードの方向に固定する働きがある事も示された。これらの結果から、CeCoIn5の高磁場低温相はFFLO超伝導秩序と反強磁性秩序の共存相であるという描像により、実験で観測された反強磁性変調ベクトル方向の面内磁場方向依存性を理論的に再現できることが明らかになった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)