2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花園 祐矢 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | crystal structure / circular dichroism / co-translational folding |
Research Abstract |
新生タンパク質ではN末から順次折りたたむことが出来るため、翻訳に共役して折りたたまれると考えられている。しかし、新生タンパク質の形成する一時的な構造やその折りたたみ機構に関しては分かっていないことが多い。そこで新生タンパク質のフォールディング機構を明らかにするため、αヘリックスで構成されたλリプレッサーのN末ドメイン、βシートで構成されたhPin1のWWドメインの二つのタンパク質を用いてX線結晶構造解析、円二色性スペクトル法を用いて研究を行った。まず、半分の長さのλリプレッサーのN末ドメインの結晶構造を2.0Åで決定した。N末ドメインのC末端は、リボソームに結合しているときと同様に動きを制限するためマルトース結合タンパク質(MBP)を融合させた状態で構造解析を行った。半分の構造でも全長構造と同じようにヘリックスで構成された構造を形成しており、ヘリックスをとっている領域もほぼ同じだった。しかしながら、ヘリックス間の相互作用は全長構造とは異なるものであった。リボソームでのタンパク質の伸長に伴い、一時的な相互作用を経ながら天然構造へと折りたたみが進んでいくと考えられる。 次に、N末から一連の長さのWWドメインにっいてC末にMBPを融合させた状態で構造解析を行った。WWドメインは天然構造ではヘリックス領域を含まないにも関わらず、途中の長さの構造では、ヘリックス構造を形成していた。一方、全長構造ではネイティブ構造と同様にシート構造を形成していた。さらに、途中の長さの構造では全長構造においてループ構造を形成している領域でも異なる構造を形成していた。新生タンパク質は最終的にβシートになる構造であってもヘリックスを取りやすい配列であればヘリックス構造を形成する。新生タンパク質のフォールディングでは、最も安定な構造をとりながら折りたたまれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
λリプレッサー、WWドメインの二つについて伸長途中の長さの結晶構造を決定し、前者については全長と半分の長さの構造におけるヘリックスの形成とその相互作用の相違を明らかにした。後者については伸長途中では本来のβシート構造とは異なるαヘリックス構造を形成していることを見出し、新生タンパク質のフォールディングを理解するうえで重要な知見を得ることが出来ており、計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
フォールディング機構に重要なステップの詳細な解析を行う。決定した立体構造から、天然構造との一致度や相互作用をもとにフォールディングモデルを構築する上で重要なステップを明らかにする。フォールディング機構を明らかにする上で重要なところでは、2残基ごと、1残基ごとの構造解析を行うことで、より綿密に構造変化を示す。さらに、C末端に単量体化するように変異を入れたアビジンを組み込んだタンパク質を作成する。それをビオチン化させたDNAを含むDNA格子上で結晶化を行い、立体構造を決定することでタンパク質分子間での相互作用を除けるため、結晶構造のパッキングによる影響を避けた条件での構造を示す。
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Research Products
(2 results)