Research Abstract |
本研究の目的は、膨大なデータベースから有用なパターンを発見することである. 平成25年度は, 超高速なデータマイニングアルゴリズムの基盤技術となる列挙アルゴリズムの開発を行なった. 次は, 申請時に立てた計画と, その実施状況である : (1)申請者の提案した部分木列挙アルゴリズムの計算量の厳密な解析 申請者は, 入力木Tに含まれるk頂点からなる部分木すべてを, 解1つあたり平均すると定数時間で列挙するアルゴリズム[Wasa, et al., COCOON2012]を提案していたが, 解1つあたりの時間計算量が厳密に定数であるかは未解決であった. そこで, 申請者は, 解1つあたり厳密定数時間で列挙することができ, 堤案アルゴリズムが最適であることを示した〔Wasa, et al., IEICE 2014]. さらに, 提案したアルゴリズムを用いて, 木構造の特徴量を計算するアルゴリズムを与えた[Wasa, et al., SISAP2013]. (2)入力のクラスを制限した効率よい部分構造列拳アルゴリズムの開発 申請者は, 入力グラフがk-縮退グラフであるときに, 入力に含まれる誘導木を, 1つあたりならしO (k)時間で列挙するアルゴリズムを得ており, 現在, 諭文の投稿準備中である, kを定数に持つクラスとして木(k=1)や, 格子グラフ(k=2), 平面グラフ(k=5)などがあり, これらに対し, 提案アルゴリズムはならしの観点から最適である. また, 申請者は, 入力が一般のグラフの拡張である超グラフのときに, 連結Berge非巡回な部分超グラフを, 解1つあたり入力サイズの多項式時間で列挙するアルゴリズムを与えた[Wasa, et al., DS2013]. これまで, 連結α非巡回な部分超グラブを列挙するアルゴリズムは知られていたが, 連結Berge-非巡回な超グラフを列挙するアルゴリズムは知られておらず, 最初の結果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時に提案していたアルゴリズムの厳密な解析, また, 様々なグラフクラスに対する列挙アルゴリズムを申請時に計画として掲げていたが, いずれも達成した. 特に, 誘導木列挙問題に対しては, 入力がk-縮退グラフであるときに効率よいアルゴリズムを与えることに成功した. これは, kを固定したクラス, つまり, 木や, 格子グラフ, 平面グラフなどの様々なクラスに対して, ならしの観点で最適な列挙アルゴリズムを示したことを意味する. さらに, k-縮退グラフに関する知見は, 今後の列挙アルゴリズムの研究開発に対する大きな助けになると予想される. 以上の点から, 当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は, 基盤となる列挙アルゴリズムの研究・開発, および, その並列実行性の検討を行う. 特に, 平成25年度に得られたk-縮退グラフに関する知見を元にして, アルゴリズムの研究・開発を行う. さらに, 列挙アルゴリズムを用いて, データマイニングアルゴリズムの研究・開発を行う.
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