2013 Fiscal Year Annual Research Report
代数体に対するボスト・コンヌ型のC*力学系について
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13J01197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武石 拓也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボスト・コンヌ / 作用素環 / 類体論 / 非可換幾何 |
Research Abstract |
標数0の局所体に対するボスト・コンヌ系を定義して基本的な性質を調べた. ボスト・コンヌ系は類体論との関係を持つC*-力学系であり, BostとConnesによって1995年に最初に定義されたのち, 多くの研究者の手によって一般の代数体に拡張されたが, 本研究ではそれを局所体に拡張した. 大域類体論は局所類体論を通じて証明されるように, 局所体に対する研究を通じて大域体の性質が調べられることが数論の世界では往々にしてありうる. 局所体に対するボスト・コンヌ系を適切にセッティングすることによって, そのアナロジーをボスト・コンヌ系の世界に持ち込もうというのが, 局所-ボスト・コンヌ系を定義した動機である. したがって局所-ボスト・コンヌ系自体を調べるだけではなく, 局所-ボスト・コンヌ系と大域-ボスト・コンヌ系の関係を調べることが重要であると考えている. それ自体はやさしい問題ではなく, そもそも適切に関係づけること自体が重要な問題であると考えているが, 本年度ではより基礎的な, 局所-ボスト・コンヌ系それ自体に関する性質に関して主に調べた. その結果, KMS状態の対称性や代数的部分環の存在など, 期待されるべき部分に関しては局所-ボスト・コンヌ系は代数体のときと同様の振る舞いが見られるが, 代数体の場合に起こる相転移現象が局所体の場合では起こらないなど, 局所体に特徴的な現象も見られることがわかった. これまでに得られた成果はオスロ大学での講演で発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボスト・コンヌ系に関する主要な論文を読み, Sergey Neshveyev氏らボスト・コンヌ系の主要な研究者との交流を持つことができ, また代数体と局所体との関係に着目して研究を進めることができたため, 初年度における同標は概ね達成できたと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
局所体のボスト・コンヌ系と代数体に対するそれとの関係を調べることが重要だと考える. 特に, 代数体の場合の相転移現象を局所体を通じて考察したいと考えている. ごく部分的には調べられたが, 不十分であり, 継続して取り組む予定である.
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