2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 友和 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | ペスチウイルス / 病原性 / 宿主 / ウイルスの吸着と侵入 / ウイルスの複製 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ペスチウイルスの病原性発現の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。平成25年度は以下の研究を実施した。 1.表面糖蛋白E2分子上のウイルスの吸着と侵入に関与する部位の同定 豚コレラウイルス弱毒株のE2の分子モデルを生物情報科学の手法を用いて作製し、ウイルスの吸着と侵入に関与する部位を推定した。その結果、これまでに同定した病原性発現に関与するアミノ酸部位は、宿主細胞のウイルスレセプター候補因子と結合する構造の近傍に位置することがわかった。弱毒株のそのアミノ酸部位を強毒株のそれに置換したウイルスを人工的に作出し、ブタの細胞における吸着および侵入効率を解析した。その結果、これらのアミノ酸部位はブタの細胞でのウイルスの吸着と侵入に関与することがわかった。 2.ウイルスの「複製複合体」の機能解析および病原性発現に関与する機能領域の同定 ウイルスの「複製複合体」の基盤である非構造蛋白NS4Bを認識する抗体を、ウサギにその組換え蛋白を免疫することで作出した。さらに、NS4Bを哺乳動物の細胞で過剰に発現する実験系を確立し、抗体を用いてその局在と経時変化を解析した。その結果、NS4Bは細胞内膜に強い親和性を持つことがわかった。また、ウイルスの「複製複合体」の機能を生物情報科学の手法を用いて推定した結果、新たにNS4BのN末端領域が病原性に関与することが示唆された。そのため、動物接種試験を実施してその領域の病原性への関与を調べたところ、ウイルスの病原性発現に関与することがわかった。 3.非構造蛋白Nproの自然免疫抑制能が生体における免疫応答および病原性に及ぼす影響の解析 Nproが、局所感染臓器においてI型インターフェロンの産生を抑制することでウイルスの増殖効率を向上させ、病原性発現に関与することを明らかにした。この研究は、目的達成のため当初の計画に加えて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス蛋白の機能を解析した結果、当初の計画に加えて動物への接種試験を行う必要が生じたため計画を変更したが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画通り病原性発現に関与するウイルス蛋白と相互作用する因子を同定する研究を進める。さらに、新たに同定した機能領域については詳細な解析を実施する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Npro of classical swine fever virus contributes to pathogenicity in pigs by preventing type I interferon induction at local replication site2014
Author(s)
Tamura, T., Nagashima, N., Ruggli, N., Summerfield, A., Kida, H., Sakoda, Y.
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Journal Title
Veterinary Research
Volume: 45
Pages: 47
DOI
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[Presentation] N-terminal domain of the non-structural protein NS4B of classical swine fever virus is responsible for the pathogenicity in pigs2014
Author(s)
Tamura, T., Ruggli, N., Nagashima, N., Mine, J., Summerfield, A., Hofmann, MA., Kida, H., Sakoda, Y.
Organizer
Third Young Researcher’s Forum for infectious Diseases
Place of Presentation
長崎県長崎市
Year and Date
2014-02-15
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[Presentation] Suppression of interferon-alpha/beta induction by classical swine fever virus Npro contributes to pathogenicity in pigs2013
Author(s)
Tamura, T., Nagashima, N., Ruggli, N., Summerfield, A., Okamatsu, M., Kida, H., Sakoda, Y.
Organizer
Muenchenwiler Meeting 2013
Place of Presentation
スイス連邦
Year and Date
2013-10-31
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[Presentation] The study on the role of the glycoprotein E2 for the pathogenesis of classical swine fever virus in pigs2013
Author(s)
Tamura, T., Sakoda, Y., Igarashi, M., Ruggli, N., Ito, K., Okamatsu, M., Kida, H.
Organizer
The 1st Sapporo Summer Seminar for One Health
Place of Presentation
北海道札幌市
Year and Date
2013-09-25
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