2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子モータを用いた集積型分子分離システムの構築
Project/Area Number |
13J01305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中原 佐 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MicroTAS / モータタンパク質 / 微小管 / MEMS |
Research Abstract |
本研究は微細加工による微小流体デバイスと生体分子モータ・微小管運動による分子操作技術を一つのチップ上に集積化し、効率的な分子操作・分離システムを構築することを目的としている。本研究で提案するシステムの有効性が実証できれば、将来は分子スケールの分析・操作技術としての応用が期待できる。上記の研究目的に基づき、本年度は微小流体デバイスの作製、微小管への分子付加技術の確立、そして電場印加による微小管運動軌跡の評価を行った。デバイスの作製については、レーザー描画装置と一般的なフォトリソグラフィによって幅2μm、高さ2μmの流路構造を石英ガラス基板上に作製した後、水ガラスを用いて別の基板と接合し、閉じた流路構造を作製した。接合の際は、基板の洗浄工程や表面状態、塗布する水ガラスの濃度の影響を評価することで最適な接合条件を得ることができた。微小管への分子付加技術については、アビジンービオチン結合を用いて、微小管のマイナス端をビオチン化し、ビオチン化された部分を介して金ナノ粒子やDNA分子を付加した。本技術と微小管の運動を用いることで、対象分子を微小流体デバイス内で輸送できる見通しが得られた。作製したデバイス内で生体分子モータと微小管が運動できる環境を構築する際は、必要となる溶液の送液方法について、条件の最適化を行った。デバイス内で運動する微小管に電場を印加した際の移動軌跡については、得られた軌跡を理論式によって近似し、その曲率半径を評価することで本デバイスの分子操作・分離システムへの応用性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究題目は大きく4つに分かれており、(1)微小流体デバイスの作製、(2)微小管への分子付加技術の確立、(3)微小管の分離とその運動解析、(4)分子操作・分離システムの構築からなる。(1)中のガラス接合条件の最適化と(2)中のDNA分子の修飾技術の確立は、予定通り実験を終えている。(3)中の電場印加による微小管操作については、電場印加時の微小管の運動軌跡評価まで終えることができている。(4)はこれまでの要素技術を集積化し、2年目に取り組む計画であるため、おおむね当初の計画通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
期間内の目標は、効率的な分子操作・分離システムを実証することである。平成25年度は、基盤となるガラス接合技術や分子付加技術に関する知見が得られたため、今後はそれらを活用し、次に示す計画に取り組む予定である。微小管速度の制御技術について、温度変化による微小管の速度変化を局所的に制御できるデバイスを開発し、効率的な分子輸送の可能性を検証する。微小流路の作製については更なるスケールダウンを行い、サブマイクロスケールの流路作製に取り組む。最終的には、これまでの要素技術を集積化し、異なる分子を付加した微小管を操作・分離し、システムの実用性を評価する。
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Research Products
(5 results)