2014 Fiscal Year Annual Research Report
指数定理を用いたスカラー曲率やその周辺に関する多様体上の解析についての研究
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13J01329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福本 佳泰 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微分幾何学 / K理論 / 指数定理 / 非可換幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究は未完成進行中であるため、その研究の概要について記す。 現在取り組んでいる最中の問題は低次元のコホモロジー類 でtwistされたversion の Novikov 予想に関するものである。Γが離散群の場合には、Hanke - Schick によって以下のような定理が知られている。h∈K*(BΓ) が、「Rankが2のコホモロジー類 c∈H*(BΓ) とのペアリングが nonzeroである〈c,ch(h)〉≠0 という仮定を満たしているとき、h の Baum Connes Assembly map α: K*(BΓ) → K*(C*_{max}Γ) による像 α(h) がnonzero である。」これの一般化として離散でない群 G とその Classifying space for Proper actions に対してもこの予想が成立することが期待できる。 まず、X上のG-不変直線束 L が定める元[L]∈KK(C_0(X),C_0(X))と h∈K^{G}_{0}(X)とのKronecker積を K群の元ではなく実数として定める必要があるが、次のようにする。[L] と h のKasparov積は再びK^{G}_{0}(X)の元となるが、それにα:K^G_0(X)→K_*(C*G)と、トレースtr:K_*(C*G)→Cを合成したものとする。AtiyahのL2-index theorem より、このαとtrの合成は、離散群Γが X に自由に作用していて X/Γがコンパクトの場合は、K_0(X/Γ)→K_0(pt)=Z の通常のaugmentationに一致する。 また、G-不変直線束 L とその曲率から G の multiplierσを構成することができ、σから定まるGの中心拡大G_σを考える。G_σは、Xに作用するだけでなく、Lの切断の空間にも作用する。この L で X の楕円型作用素をひねり、Hang Wangのindex theoremを適用することができる。尚、群 G と G_σのそれぞれに対する Baum Connes Assembly mapαとα_σおよび、トレース trとtr_σとの合成は、K^{G}_{0}(X)の元[A]に対しては、tr(α([A])) = tr_σ(α_σ([A]))という関係にあることが分かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
C*-module bundleを許したHankeのK-areaの有限性と、通常のHermitian vector bundle のみを許したGromovのオリジナルのK-areaの有限性が一致することを示そうとしていたがKasparov氏から、HankeのK-areaの定義を変えない限り、正しくないように思えるとの助言を受けた。それは確かに理に適っているが、一方でもとのHankeのK-areaの有限性は、Rosenberg index が 0 であることと同値であることが示されている。このため、問題自体が不適切であったと考え、問題を変更することに踏み切った。
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Strategy for Future Research Activity |
Twisted Cohomology を用いた version の Novikov 予想に関する、Hanke - Schickの結果の類似を、離散でない群に対して示す。Hanke - Schickの扱っている離散群の場合は almost flat bundles とMishchenko - Fomenko の指数定理が用いられているが、離散でない群の場合はMishchenko - Fomenko束のような構成は出来ない。代わりに群 G のmultiplierと Hang Wangの L2-index formula for proper cpmpact group actions を用いる。Hanke-Schickのalmost flat bundle を用いる手法は群Γの Maximal C*環 のUniversal property を用いるため、reduced C*環の場合に応用できない。 同様のことは HankeのK-areaについても問題になっている。multiplierを用いた手法では、reduced C*環の場合にも応用できるので、群 G が離散の場合でもHanke - Schick の結果の拡張になる。 Signature operator に応用することでhigher signature の低次元コホモロジー類に対するホモトピー不変性が導かれるが、Spin多様体の Dirac作用素 に応用することで更に、Mathai の K-theory of twisted group C*-algebras and positive scalar curvature の結果の系の類似が示されると予想できる。 また、Twist σ∈H^2(BΓ;U(1)) の Dixmer douady class δ(σ)∈H^3(BΓ;Z) が 0 であるとき、つまりσ=exp(2πic) (c∈H^2(BΓ;R))と書けるときのみ、偶数次元のホモロジー類 h∈K(BΓ) とのペアリング〈exp(c),ch(h)〉を考えることができる。ここでδの Kernel を考えるのではなく Cokernel を調べ、奇数次元のコホモロジー類とのペアリングが nonzero であることから、奇数次のα(h)が nonzero を導くことができるという予想もできる。
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