2013 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論の非摂動的定式化における重力構造及び時空の生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
13J01330
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 侑磨 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 行列模型 / ゲージ/重力対応 / BMN行列模型 / Little String Theory / 非摂動的定式化 |
Research Abstract |
本研究の目的は超弦理論の非摂動的定式化において重要な問題である時空と重力の生成を明らかにすることであった。今年度得られた主な研究成果は、plane wave行列模型で時空の生成を実現したことである。plane wave行列模型は2つの意味で重要な理論である。1つはpp-wave時空周りのM理論の非摂動的定式化になっていると考えられており、したがって超弦理論の行列模型による非摂動的定式化の完成の糸口になっていることである。もう1つはAdS/CFT対応を超えた一般のゲージ/重力対応の例のひとつになっていることである。ゲージ/重力対応も超弦理論の非摂動的定式化の候補と考えられているので、1つ目とは別のアプローチとして重要な意味を持つ。さらに重要なことに、plane wave行列模型はそれより高い次元のいくつかのゲージ理論を真空のひとつとして含んでいるため、そのクラスのゲージ/重力対応をまとめて議論できる。 この研究では、plane wave行列模型の無数にある真空それぞれにおいて、ゲージ/重力対応により対応する時空が実際に生成していることをゲージ理論側から具体的に示した。先行研究として、対応する重力解は構成されていたが、それがゲージ理論側でどのように実現されているかはこの研究で初めて明らかにされた。また、生成される時空のひとつに超弦理論のオブジェクトであるNS5ブレーンに対応する解があるが、このNS5ブレーン上の理論はlittle string理論というまだ分かっていないことの多い理論になっていると考えられている。本研究によって、little string理論のplane wave行列模型による定式化についてなど、その詳細を明らかにできる可能性がある。その内のひとつとしてlittle string理論の一般的な真空がplane wave行列模型から実現する方法についての結果も得ており、次年度に論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容は当初の方向から少々外れてはいるが、本研究の目標のひとつである超弦理論における時空の生成が重要な例で達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた研究成果を発展させることによって、plane wave行列模型における重力の創発についても明らかにすることができると期待される。1/N補正や、重力解周りの経路積分を解析して、期待される重力構造が入っているか調べる。最終的には、解析的な方法だけでなく数値計算など様々な方法を駆使して時空生成のダイナミクスまで踏み込み、超弦理論により実現される現実世界について議論する。
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Research Products
(6 results)