2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニシゴリラのコミュニティ構造:単独オスと群れの音声コミュニケーションと遊動の解析
Project/Area Number |
13J01331
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪川 桂子 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニシローランドゴリラ / 霊長類学 / 社会生態 / ガボン共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、野生ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)の単独オスと群れがどのような社会関係を築いてコミュニティを形成しているのか、遊動と音声という2つの観点を関連づけて検証する。調査地は、ガボン共和国のムカラバ・ドゥドゥ国立公園である。
平成26年度は、単独オスの採食物の内容と採食場所の利用方法、および日遊動距離の季節変化について、前年度までに得られた観察データを解析した。その結果、ニシローランドゴリラの単独オスにおいては、果実食が多い時期と少ない時期の採食場所の利用方法の変化が、ニシローランドゴリラの群れやヒガシローランドゴリラ(G. beringei graueri)の単独オスとは異なるパターンをしめすことが示唆された。これには、ニシローランドゴリラが他種のゴリラと比較して高い果実食性を示すことや、単独オスには群内の採食競合が働かないことなどが影響していると考えられる。ゴリラの遊動に生態学的要因が与える影響について、新たな知見が得られた。
また、オス間の社会関係を明らかにするために、群れと単独オスの出会いの事例を分析した。これまでほとんど報告のなかった、単独の若いオスが出自ではない群れの個体と遊動をともにするという行動や、若いオスどうしの親和性など、マウンテンゴリラとは異なる特徴がニシローランドゴリラのコミュニティにみられることが判明した。この研究成果を、7月に大阪で開かれた日本霊長類学会や、8月にベトナムで開催された国際霊長類学会にて口頭で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は研究計画を変更して、前年度までに得られたデータを解析して成果を発表することに重点を置いた。そのため、当初計画していた長期野外調査を実施できず、行動観察のデータが不足している。それに伴い、野外でのゴリラの音声使用についても追加の資料収集が行えず、音響分析にも遅れが生じている。また、当初予定していた野外プレイバック実験については、音響分析の遅れにより、実施が困難であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は当初の研究計画を変更し、平成26年度に実施できなかった長期の野外調査をガボン共和国ムカラバ・ドゥドゥ国立公園にて行い、行動観察のデータを追加収集する予定である。主な調査項目は、群れ内外の社会交渉、特に音声コミュニケーションである。
当初の研究計画に記載していた野外プレイバック実験については、音響解析が遅れているため実施が見込めない。自然状態における行動観察を重点的に行うことで、他のゴリラの音声が聴こえた際の反応について観察事例を増やして対応する。
また、平成26年度までに解析された、単独オスの採食と遊動、およびオス間の社会関係に関する知見については、国際誌に投稿する予定である。
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Research Products
(7 results)