2013 Fiscal Year Annual Research Report
η’中間子の光生成を用いた対称性の破れによる質量生成機構の実験的解明
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13J01348
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 圭吾 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | η'中間子 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、η'中間子光生成を用いて対称性の破れによる質量生成機構を実験的に解明することである。基本的な物理量の一つである質量の起源についてはまだ完全な解明はなされていない。粒子が質量を獲得する機構は、ヒッグス機構とカイラル対称性の破れによる質量生成機構の2つがあると考えられている。本研究ではη'中間子と原子核、核子との相互作用を詳しく調べ、2つ目のカイラル対称性の破れによる質量生成機構の実験的解明を目指す。 本研究は兵庫県にあるSPring-8/LEPS2で行う。SPring-8の蓄積リングを周回する電子に紫外線レーザーを照射することで、逆コンプトン散乱を起こし1.4-3GeVのガンマ線を作り実験ハッチに入射する。実験ハッチ内に設置された標的物質(陽子、重陽子、炭素など)にガンマ線が入射されると、η'中間子を含む様々なハドロンが生成されるので、それらもしくはそれらの崩壊粒子を標的のまわりに置かれた検出器によって検出する。主な検出器としては、1320本のBGOクリスタルからなるガンマ線検出器、6面480本の読み出しワイヤーを持つ飛跡検出器であるドリフトチェンバー、TOF検出器のResistive Plate Chamberが挙げられる。 η'中間子に限らず、多くのハドロンは崩壊後の粒子を検出器によって電気信号として検出することにより同定される。η'中間子のように生成断面積の小さな粒子を確認するためには高統計を必要とするので、高速かつ高効率なデータ取得が要求される。本年度は、主にこの高速データ取得回路の構築を行った。 本実験では1-2kHzの高レートトリガーで、2000chを超えるチャンネル数を読み出す必要がある。このためFERA-UIOシステムおよびVME-TDCシステムからなるコレクタ群に、FPGAロジック回路などを用いて適切にビジー処理を行うトリガー回路を構築した。動作確認は現在行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度12月にテストデータの取得を開始した。今後は検出器の増設を行いつつデータを溜めていき、同時に解析もすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子を正しく同定するために、各検出器のキャリブレーションを進める。新しい標的である液体水素標的を準備し、水素標的でのデータ取得を行う。データ取得と同時に解析もすすめていき、各種粒子の同定を行う。その後、物理現象の解析を行う。
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Research Products
(1 results)