2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01363
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
外川 奈津子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血小板 / SLC17A9 / ATP |
Research Abstract |
血小板の濃染顆粒内には、高濃度のADPやATPが蓄積されており、これらが開口放出されることが血液凝固の第一ステップである。しかし、顆粒内にこれらのヌクレオチドが蓄積されるメカニズムはこれまで明らかにされていなかった。当時研究室は、2008年に、SLC17ファミリーの9番目のメンバー(SLC17A9)が小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)として機能すること発見した(PNAS, 105, 5683・6, 2008)。VNUTは分泌顆粒内にATPやADPなどのヌクレオチドを、膜電位を駆動力として輸送する。私は、VNurこそが血小板の濃染顆粒内へのヌクレオチドの蓄積を担っているのではないかと考え、以下の項目について明らかにした。 1. ヒト血小板におけるVNUTの発現部位を、細胞分画と免疫組織学的手法を用い、VNUTは濃染顆粒に局在することを見いだした。また、ヒト血小板膜小胞を用いてATP輸送活性を測定した結果、以前当研究しゆ室で明らかにした精製VNUTのATP輸送活性と同様の結果を示した。 2. ヒト血小板の前駆細胞である巨核芽球をライン化したMEG-01細胞を用いて、VNUTの発現と機能を調べた。この細胞にhVNUTに特異的なsiRNAを導入した結果、遣伝子レベル及びタンパクレベルでVNUTの発現のみが低下していることを確認した。このとき、VNUTの発現量の低下に比例して、ATP輸送活性及びATP、ADP放出量が低下していることを見いだした。 3. ヒト血小板及びMEG・01細胞のATP輸送及び放出について、VNUTの特異的阻害剤であるグリオキシレートにより抑制されることを明らかにした。 以上のことから、VNUTは血小板の濃染顆粒に局在し、ヌクレオチドの蓄積を担っていると結論した。本研究により、長年未解決であった血小板のヌクレオチド蓄積機構を解決することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、VNUTは血小板の濃染穎粒に局在し、ヌクレオチドの蓄積を担っていると結論し、論文にまとめることができた。現在、投稿審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
VNUTが発現していなければ、濃染穎粒内へのヌクレオチドの輸送は低下し、蓄積量も減少し、それに伴って血小板凝集も減少することが予想される。つまり、VNUTノックアウトマウスの血液は凝固しにくいと考えられる。そこでVNUTノックアウトマウスから血小板を靴、VNUTの有無、ATP輸送の有無、ATP、ADP分泌の有無を調べる。さらに血小板凝集能を調べる。血小板凝集度を濁度の変化としてみる測定系とVNUTノックアウトマウスは研究室で構築済みである。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Vesicular nucleotide transporter regulates the nucleotide content in airway epithelial mucin granules2013
Author(s)
Sesma J, Kreda SM, Okada SF, Heu sden C, Moussa L, Jones LC, O'Nea I WK, Togawa N, Hiasa M, Moriyama Y, Lazarowski ER
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Journal Title
American Journal of Physiology Cell Physiology
Volume: 304(10)
Pages: C976-984
DOI
Peer Reviewed
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