2013 Fiscal Year Annual Research Report
非同期セルオートマトン神経系モデルとその動的再構成回路実装による神経補綴の基礎
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13J01385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 崇 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニューラルネットワーク / スパイク発火列 / 時系列予測 / FPGA / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
単体の神経細胞をセルオートマトンで精緻に再現し, その特徴的な波形パターンや応答特性について再現できることを確認した. またそのセルオートマトンによる神経細胞モデルを回路上に実装し, 従来用いられてきた神経細胞モデルよりも同等の再現性であれば少ない回路面積で実装できることを確認した. 学習アルゴリズムを開発し, これにより生体神経細胞やその数理モデルの応答特性を与えることで, 自動的に応答特性やその内部のダイナミクスまで模倣出来ることを確認した. 学習アルゴリズムを動的再構成回路A上に実装し, 動的にパラメータを変更できることを確認した. 次に, 前述のセルオートマトンによる神経細胞モデルを単純に結合させ, 小規模神経回路ネットワークを形成した. また神経細胞ネットワークの学習アルゴリズムを用いて, 複雑な樹状突起構造を持つ神経細胞モデルのスパイク発火列の入出力関係を学習させることに成功した. これによりマルチコンパートメントモデルが実装出来たと考えられる. また小規模な神経細胞ネットワーク, ラットの生体脳の粗い粒度においても同様の結果を得た. スパイク発火列は生体の神経系で使われている情報符号化法であり, 神経補綴機器を作成する上で必要である. 既存の神経補綴機器と比較し, より高い精度でスパイク発火列が再現できることを確認した. また動的再構成回路実装を活用することで, 実装に必要な計算量(回路面積, 計算時間)が少ない事を確認した. 大規模な神経系の活動, ダイナミクスにはまだ不明な点が多い. このため脳情報通信融合研究センターと協力し, fMRIを用いて脳活動を計測し, そのモデル化に取り組んだ. 特に視覚刺激に対する視覚野の応答に注目し, 神経系の研究で培われた非線形数理モデルへの知見を応用することで, いくつかの既存手法より高い精度でモデル化することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年次計画において, 1年目はシナプスモデルとケーブルモデルを提案し, マルチコンパートモデルを構築する予定であった. しかしシナプスモデルを用いずともより簡易な結合方式でマルチコンパートメントモデルを構築できた. また2年目の予定であった小規模ネットワークの模倣やネットワークのパラメータ最適化にも同時に成功している他, また大規模ネットワークへの布石として, MRIを用いた粗い粒度のモデル化にも取り組んだ. シナプスモデルを作成していないことを差し引いても当初の計画以上の成果が得られたものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の課題であったシナプスモデルについては今後シナプス可塑性と同時に開発する. しかし, シナプス可塑性については未だ生理学的・数学的にも議論が尽きておらず, この観点での研究を同時に遂行する必要性がある. これは年次計画になかった課題であるが, しかし1年目の研究が計画以上に進んだため, その時間は十分にあると考えられ, 研究計画に変更は必要ない. 2年目3年目をあわせ, 小規模~大規模ネットワークのダイナミクスの模倣と神経補綴機器の開発に従事する.
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Research Products
(8 results)