2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01446
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
政成 美沙 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シトクロムc / 圧力耐性 / 結晶化 / 構造決定 / 生育圧力 |
Research Abstract |
本年度は深海蛋白質の圧力耐性と熱安定性の関係を明らかにするために以下の実験を行った。 1. 変性剤耐性の測定圧力耐性を測定するにあたって必要となるため、深海シトクロムcと浅瀬シトクロムcの常圧下での変性剤耐性を測定した。得られた結果から、圧力耐性の測定に必要な実験の条件を設定した。 2. 変異導入これまでの研究で検討をつけておいた50番目のアミノ酸について、深海シトクロムcと浅瀬シトクロムcで相互に入れ替える変異体を作成した。また、学会等で発表し、さらに変異導入すべきアミノ酸を指摘されたため、深海由来と浅瀬由来で相互に入れ替えた変異体を計12点作成した。 3. 変異体の安定性測定項目2で得た変異体のうち、50番目のアミノ酸の変異体について、熱安定性および変性剤耐性を測定した。変異導入による深海シトクロムσの熱安定性の低下が見られた。また、変性剤耐性の測定によって、実験に用いる変性剤の種類の再検討が必要であることもわかった。変性剤の種類によって安定性が変化するかどうか、また、その安定性がシトクロムcの圧力耐性と関係しているかどうかを知ることで、さらに議論を深められる。 4. 結晶化まだ構造が明らかになっていない深海シトクロムcについて、結晶化を行ったcスクリーニングによっていくつかの条件で結晶化が可能である可能性を見出した。結晶化をさらに進め、構造決定をすることで、これまで構造シミュレーションでしてきた議論により説得力を持たせることが出来る。 5. 圧力耐性の測定圧力耐性の測定は、京都大学にて高圧分光光度計を借りて行った。項目1で得られた結果より圧力耐性の測定に必要な実験の条件を設定し、実際に測定してさらに調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、当初予定していた変異導入実験は遂行できている。圧力耐性の測定に関しては一通りの実験は終了しており、再現性を取ることが出来れば論文化も可能である。しかし、当初予定していた構造決定については、まだ結晶化の条件検討中であり、少し遅れている。ただし、結晶化できる条件はいくつか見つかっているので、構造決定に必要な精度の結晶作製はあまり困難ではないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は圧力耐性の測定および結晶化・構造決定を第一に進める。圧力耐性の測定のために、高圧分光光度計が必要であるが、研究協力者の好意により使用許可を頂いているため、測定はあまり困難ではないと考えられる。また、変異導入の箇所が増えたので、これらの発現・精製を行い、熱安定性や変性剤耐性、圧力耐性も測定する。
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