2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01446
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
政成 美沙 広島大学, 生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シトクロムc / 圧力耐性 / 結晶化 / 構造決定 / 生育圧力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は深海蛋白質の圧力耐性と熱安定性の関係を明らかにするために以下の実験を行った。 1.変異導入 これまでの研究で検討をつけておいた4、8、37、41番目のアミノ酸について、深海シトクロムcと浅瀬シトクロムcで相互に入れ替える変異体の作成に着手した。深海由来シトクロムcの安定性を下げ、浅瀬由来シトクロムcの安定性を上げるアミノ酸を特定するためである。これらのうち、8、37、41番目の変異体については発現株を得ることができた。 2.変異体の安定性測定 項目1で得た変異体のうち、37番目のアミノ酸の変異体について、熱安定性を測定した。その結果、変異導入によって深海由来シトクロムcの安定性は上昇し、浅瀬由来シトクロムcの安定性は低下した。目標としている安定化に寄与するアミノ酸、つまり深海由来シトクロムcの安定性を下げ、浅瀬由来シトクロムcの安定性を上げるアミノ酸の発見にはまだ至っていない。これを知るためには、シトクロムcの構造解析およびアミノ酸相互作用の特定が必須であると考えている。 3.結晶化 前年度に行ったスクリーニングの結果に基づいて結晶化条件の検討を行い、結晶ができる条件を見出した。得られた結晶については、大阪大学の共同研究者の下でX線結晶構造解析を行っている。これで得られた結果から、項目1の変異導入箇所を再考する。 4.圧力耐性の測定は、前年度に京都大学にて使用した高圧装置を広島大学で借りて行なった。前年度からの予備実験で得られていた結果を元に、短期集中で野生体4種のシトクロムcの圧力耐性を測定した。その結果、どの圧力下でも深海由来シトクロムcは浅瀬由来シトクロムcよりも安定性が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、当初予定していた変異導入実験は遂行できている。 1.計画通り変異導入実験に着手し,変異蛋白質の発現・精製に成功,そして熱安定性および変性剤耐性の測定実験を完了した。 2.X線回折による蛋白質の構造決定については,良質の結晶を得ることができ,現在は大阪大学の共同研究者のもとでX線回折を行っている。この結果を元に,変異導入実験へも展開する予定である。 3.前年度に行なった予備実験を元に,圧力耐性を測定した。測定はほぼ終了し,2015年度中にもう一度装置を借りて測定して再現性を取る予定である。 以上のうち1と3の一部については,国内外の学会で3回に分けてその成果を発表した。さらに,前年度までの成果を2報の学会誌論文として発表した。いずれも筆頭著者としての成果であり,期待通り研究が進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、結晶構造解析を進め、その結果と照らし合わせながら変異導入を行い、シトクロムcの安定化に寄与するアミノ酸を特定していく。また、学会等で変性剤耐性や圧力耐性の測定に使用する変性剤に疎水性の変性剤を使用することを勧められたため、尿素を用いた実験を行う予定である。
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