2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01446
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
政成 美沙 広島大学, 生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | シトクロムc / 深海 / 圧力 / 立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は深海シトクロムcの圧力耐性と熱安定性の関係を明らかにするために4項目の実験を行った。 1.圧力耐性の測定 高圧分光光度計を用いて,圧力耐性を測定した。変性剤グアニジン塩酸塩使用し,高圧下での変性剤耐性を測定した。その結果,変性剤耐性は加圧によって低下したが,深海由来シトクロムcはどの圧力下でも,浅瀬由来シトクロムcよりも高い変性剤耐性を示した。 2.構造決定 深海由来シトクロムcの結晶を用いてX線回折を行い,立体構造を決定した。その結果,深海由来シトクロムcは構造既知である浅瀬由来シトクロムcに比べて分子内部の空隙が小さいことが分かった。空隙周辺のアミノ酸は浅瀬由来シトクロムcには無い水素結合を形成していた。 3.変異体の熱安定性測定 項目2で空隙周辺に位置していたアミノ酸について深海および浅瀬由来シトクロムcで相互に入れ替えた変異体を作成し,熱安定性を測定した。その結果,いくつかのアミノ酸のうち,50,50/51番目のアミノ酸が特に深海由来シトクロムcの安定化に寄与していることが分かった。 4.変異体の変性剤耐性測定 項目3で深海由来シトクロムcの熱安定化に関わっていることが示された50,50/51番目の変異体について,グアニジン塩酸塩を用いて変性剤耐性を測定した。その結果,50/51番目のアミノ酸を同時に置換した変異体では,深海由来シトクロムcの変性剤耐性は低下し,浅瀬由来シトクロムcの変性剤耐性は上昇した。 以上の結果およびこれまでの研究成果より,深海由来シトクロムcは圧力に適応することで安定性が高くなっていることが示された。変異体の圧力耐性を測定することで,より詳細にシトクロムcの「熱や変性剤に対する安定化」と,「圧力への適応機構」を結びつけることができるようになるかも知れない。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|