2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石塚 裕大 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 降下理論 / 数論的不変式論 |
Research Abstract |
私の研究の主目的は、代数系によるガロアコホモロジーの解釈(=函手的対応)を用いることで、扱いづらい数論的・幾何的な情報と代数群の線形表現の軌道を結びつけることである。実際これまでに環論的な情報、数論的な情報、幾何的な対象、それぞれを軌道の言葉で解釈することにより、ある結合的代数の分類論や楕円曲線の階数の平均などの多くの結果が得られている。また代数曲線のヤコビ多様体のモーデル・ヴェイユ階数の計算手法である降下理論ともつながりが深い分野であり、そちらへの応用もまた期待される。 平成二十五年度に私が最初に取り組んだのは、修士課程における研究における研究結果、すなわち二次超曲面二つの完全交叉と超楕円曲線のヤコビ多様体のガロアコホモロジーとの対応を、非可換な結合的代数の言葉で書き、拡張することである。これは先行研究において、幾何的対象、すなわち楕円曲線と自己同型と直線束の三つ組と、代数的対象、ある結合的代数の族との関係を調べることによって、その結合的代数の族の分類という結果が得られていたことを受けたものである。この方向性は当初の研究計画の順序とは異なるが、一般の代数曲線へ、統一的に対応を拡張することを期待して研究に取り組んだ。 具体的には以下の二つの方法を採用した。一つは射影曲線とその上の二つの直線束があったとき、一つの直線束をもう一つの直線束でねじって、それらの大域切断で非可換環を作る方法である。もう一つは実際の自分の研究に基づき、二次超曲面二つから、射影空間の積の部分多様体の族を構成して、それから得られる環を調べるという手法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
9.で述べた手法によって得られた非可換代数を系統的に調べることが難しかったのが大きな原因である。前者では広く一般に得られる性質以上の特徴は得られず、後者の手法ではネーターではない非常に大きな環が現れてしまった。また後者の手法の逆を試みると、かなり大きなクラスの非可換代数が情報を失うことが分かっている。これらの問題点を解決するのは今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度終盤から非可換代数を用いず、幾何的対象と代数群の線型表現の軌道を直接結びつけることに集中している。軌道の具体例としては三つの二次超曲面の完全交叉や、通常二重点を持つ三次元三次曲面と種数4の射影曲線がある。これらの問題点は二つの二次超曲面の場合と異なり、対象の自己同型群と軌道の安定化部分群の同型が期待できないことであるが、そういった場合でも幾何的な方法でアーベル多様体のトルソーが作られる場合があることに注目して、その性質を調べることを計画している。また三つの二次超曲面において、退化した場合には二つの二次超曲面の場合と同様に自己同型群と安定化部分群の同型が得られることがあるため、退化した場合からも研究を進めるつもりである。
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Research Products
(3 results)