2013 Fiscal Year Annual Research Report
担癌生体における骨髄由来免疫抑制細胞群の免疫抑制機構の解明
Project/Area Number |
13J01464
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角田 健太郎 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腫瘍内微小環境 / MDSC / CD73 / TGF-β / IL-6 |
Research Abstract |
MDSC (Myeloid-derived suppressor cells)への誘導はIL-6を阻害するだけでは完全に制御出来ず、どの腫瘍由来因子が起因となっているかは未だに不明である。抑制性MDSCに分化誘導させる因子を同定後、その因子により今までに報告されていない新たな免疫抑制分子の同定を担がんマウスを用いて行った。MDSCの新規免疫抑制機構としてCD73細胞表面分子に着目した。CD73分子は5'-nucleotidase活性によってAMPを脱リン酸化することによりアデノシン産生に関与し、T細胞活性を抑制することが知られている。担がん生体内MDSCにおけるCD73の発現を検討した結果、脾臓内MDSCではCD73の発現が認められなかったのに対し、腫瘍内浸潤MDSCではCD73の発現が認められた。そこで我々は腫瘍由来因子中に含まれるIL-6、TGF-βに着目した。担がんマウス脾臓よりMDSCを単離後、IL-6あるいはTGF-βの存在下でMDSCを培養した。その結果、脾臓内MDSCにおいてIL-6単独で加え培養を行った群ではCD73の発現が認められなかったのに対し、TGF-βを加えた群でCD73の発現が著しく上昇することが明らかとなり、TGF-βによりCD73発現が制御されていることが示された。結果より、腫瘍微小環境内で産生されるIL-6、TGF-β依存的にCD73を増強発現し、強い免疫抑制を示すと考えられる。CD73の発現はTGF-β/IL-6により制御されておりTGF-β/IL-6を介したMDSCの免疫抑制機構を制御することによって、より効果的ながん免疫治療が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍内微小環境において、MDSCの誘導因子を同定した。また、新たな免疫抑制因子としてCD73の関与を見出した。当初の目的である2つの重要な課題は達成し、概ね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかとした、IL-6/TGF-βを介したMDSC誘導機構を基盤とし、ヒトMDSCの解析を進めていく。ヒト癌患者抹消血において、LIN-HLA-DR-CD33+あるいはCD11b+CD14-CD33+細胞群がMDSCとして報告されている。しかし、腫瘍局所におけるMDSCの意義については解明されておらず、さらなる解析が必要である。
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Research Products
(3 results)