2013 Fiscal Year Annual Research Report
惑星探査機で観測された木星電波の解析と波動の生成・伝搬過程の数値シミュレーション
Project/Area Number |
13J01567
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 雅文 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 木星磁気圏 / オーロラ / 電波 / 減衰レーン / レイトレーシング |
Research Abstract |
木星極域オーロラ現象に関連する木星デカメートル(DAM)波・ヘクトメートル(HOM)波はそれぞれ数MHzから40MHzまでと200-300kHzから数MHzまでの周波数における自然電波放射であり、サイクロトロンメーザー理論で放射されると考えられている。木星DAM波・HOM波は地上・衛星観測の観測的観点や波動の生成・伝搬の理論的観点から、幅広く研究がなされているが、これらの電波の複雑な放射特性や観測の制約、統一的な数値シミュレーションコードの未構築により、未だに全貌が明らかとなっていない。本研究では、惑星探査機や地上低周波電波望遠鏡で観測された複雑な木星電波の電波放射構造をもとに、木星電波源や伝搬過程のプラズマ環境を定量的に見積もることができる、波動の生成・伝搬に関する統一的な枠組みを構築し、活用することを研究目的とする。 本年度は、木星HOM波中の部分的に電波強度が弱い減衰レーン現象に着目し、惑星探査機カッシーニで観測された木星HOM波の発生頻度マップをもとに、3次元レイトレーシングコードを実施した。この減衰レーン現象は電波伝搬途中にイオプラズマトーラスを貫く磁力線上の高密度なプラズマもしくはイオプラズマトーラスの高密度なプラズマにより、光線が曲げられていることに起因されていると考えられている。本年度は主に前者に関して、木星両極からカッシーニ探査機までの木星HOM波の電波伝搬を計算し、磁力線沿いのプラズマ密度やそのプラズマの広がりを定量的に求めることができた。現在は粒子をMaxwellianとKappa分布に振る舞うとした場合の拡散方程式を基礎方程式としたイオプラズマトーラスモデルを考慮し、後者に関しても検討中である。本年度に得られた研究成果は国内学会・研究会や国際学会においてポスター・口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では先行研究で用いられていた3次元レイトレーシングコードの整備、現実の木星磁気圏を再現した環境の構築が含まれていた。前者は遂行できたが、後者はまだ構築途中である。それは先行論文をもとに再現を試みたが、作成した結果と原著論文の結果とが一致せず、不明瞭な点が生じたため再現に至らなかった。そのため、その論文執筆者達の協力が必要であったことに本年度末に気付き、彼らの助言をもとに現在はプログラムの作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、現実の木星磁気圏を再現した環境の構築を完成させるとともに、それを土台にして現行のレイトレーシングコード実施したり、それを発展させたレイトレーシングコードの開発と実施したりする予定である。それに加えて、海外研究者達の協力のもとに、カッシーニ探査機で得られた木星DAM波・HOM波の偏波解析を行い、上記のレイトレーシングコードを基礎として、木星電波構造や電波源の推定を試みる。それと並行して、波動の生成を調べる線形解析ソルバーや2-1/2次元高周波電磁ハイブリッドコードの開発・発展にも着手する。
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Research Products
(5 results)