2014 Fiscal Year Annual Research Report
惑星探査機で観測された木星電波の解析と波動の生成・伝搬過程の数値シミュレーション
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13J01567
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 雅文 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 木星磁気圏 / 木星電波 / 減衰レーン / レイトレーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
木星極域オーロラ現象に関連する木星デカメートル(DAM)波・ヘクトメートル(HOM)波はそれぞれ数MHzから40MHzまでと200-300kHzから数MHzまでの周波数における自然電波放射であり、サイクロトロンメーザー理論で放射されると考えられている。木星DAM波・HOM波は地上・衛星観測の観測的観点や波動の生成・伝搬の理論的観点から、幅広く研究がなされているが、これらの電波の複雑な放射特性や観測の制約、統一的な数値シミュレーションコードの未構築により、未だに全貌が明らかとなっていない。本研究では、惑星探査機や地上低周波電波望遠鏡で観測された複雑な木星電波の電波放射構造をもとに、木星電波源や伝搬過程のプラズマ環境を定量的に見積もることができる、波動の生成・伝搬に関する統一的な枠組みを構築し、活用することを研究目的とする。 本年度は、前年度で構築した3次元レイトレーシングと木星磁気圏モデルおよび新たに再現した木星プラズマモデルを用いて、惑星探査機カッシーニで観測された木星HOM波の発生頻度マップを理論的に再現できるかを検討した。特に木星HOM波内の減衰レーンと呼ばれる、木星HOM波の発生頻度が低くなっているところとその周りが高くなっているところの2点に着目して調べた。この減衰レーンを説明する有力なモデルとしては、木星極域の電波源から放射されたHOM波が観測者に到達するまでに、衛星イオの周辺を貫く磁力線に沿って存在する木星極域プラズマ密度の疎密により、電波が屈折することで強度が部分的に弱くなるとするものである。本年度は拡散方程式を用いてイオプラズマトーラスモデルに置き換えて、電波源が存在する木星両極域からカッシーニ探査機までの木星HOM波の電波伝搬を計算し、木星極域の微細なプラズマ密度を定量的に見積もることができた。本年度に得られた研究成果は国際学会と投稿論文にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度で構築した3次元レイトレーシングを土台に、本年度作成した木星プラズマモデルと組み合わせて、木星HOM波の減衰レーンを吟味することによって、木星極域の微細なプラズマ密度を定量的に求めることができた。さらに、それを発展させるために、2014年6月から1年間の予定でフランス・パリ天文台ムードン研究所に滞在し、Lecacheux博士の指導のもと、木星電波の電波伝搬を扱う理論研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、電波強度を考慮できる3次元レイトレーシングを開発し、それをもとに木星HOM波の減衰レーンについて再検討を行う。これによって得られた結果は実際の観測強度と直接比較することができるようになる。また、2014年12月から2015年3月にかけて、超高感度・広帯域低周波望遠鏡3台(アメリカ・LWA1、フランス・NDA、ウクライナ・URAN-2)を併用して、木星電波の同時観測を行った。その結果、4例の木星電波同時観測に成功した。今後は、それらのデータ解析も進めて行く。
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Research Products
(3 results)